先週の株価棒下げに危機感を抱いた各国政府や中央銀行は、景気失速を防ぐべく緊急対策を講じる方向にある。
その第1弾として昨日、米FRBによる政策金利の0.5%引き下げが発表された。 それに続くのは、さてどこか?
ここで、新しい問題が俎上に上ってきた。 EUも日本も、すでにマイナス金利の世界に入っている。
金融緩和や金利引き下げといった面では、すでに手を打ち尽くした感がある。 つまり、打つ手がほとんど残っていないということだ。
それを見越してか、NY株式市場はFRBによる緊急利下げを一時は歓迎したものの、すぐ下落に転じて昨日は785ドルの大幅安で引けた。
こうなってくると、投資家のみならず経済人全般の関心事は、世界景気の減速懸念が株価下落だけで済むのかどうかだ。
一部に、信用力の低い社債が売られてはいるが、まだそんな程度だ。 そこから先の読みが、いよいよ難しくなっている。
現段階では、安全資産への逃避ということで、米国債が買われている。 10年物の長期金利は0.9%と、史上最低値を大きく更新した。
いまのところは、金融マーケット全体が大揺れに揺れはじめたという展開には至っていない。
ということは、金あまりバブルの足元が崩れ出したものの、まだ全体がガタつくところまでには至っていないと判断できる。
その点だけを取り上げるなら、株価下落はいつ頃落ち着くのだろうか。 そこが、焦点となる。
一方、「こんなもの、まだ走りの段階だよ」という見方もできる。 経済合理性の鉄槌は、いずれ必ず下る。
そう、金あまりバブルはいつか吹き飛ぶ。 その時は、安全資産とされている米国債だろうと投げ売りの対象となる。
長期投資の観点からすると、経済合理性による鉄槌はいつでも歓迎、つまり歪みの是正は早ければ早いほどいい。
なにがあろうと、地球上77億人を超す人々の生活はなくならない。 それを支える企業活動だって、止まることはない。
つまり、われわれ長期投資家の拠って立つべきところは、いささかも動揺しないのだ。 下げれば下げるほど、しっかり買っておこう。