3月半ばぐらいまでは、ようやく金融バブルが崩れ出したと、ご機嫌だった。 株価暴落の連鎖で、ジャンク債や金融商品が売られ出すぞ。
それが、マーケットの大混乱やマネーの収縮に発展し、企業倒産や金融機関の不良債権増加、そして最終的には国債売りや金利上昇を招く。
これら一連の大変な騒ぎは、金利の正常化と経済活動の健全化に向かって避けては通れない道である。
だから数年前まで、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)は、世界に先駆けて出口戦略を推し進めていたわけだ。
出口戦略とは、一刻も早く過剰に供給しているマネーを吸収して、金利も通常の水準にまで戻そう(高めよう)とするもの。
そうしないと、株価や不動産価格のバブル化が経済全体にも及んでいき、収拾がつかなくなる。
それほどまでに、現状の大量資金供給は異常で危険極まりないと判断していたわけだ。
そのFRBも、トランプ政権からの圧力で出口戦略を引っ込めてしまった。 それで、熟柿が落ちるのを待つように、株価暴落を待っていたわけだ。
待ちに待った金融バブルの崩壊が、3月に入って始まったと思いきや、新型コロナウイルス問題がパンデミック騒ぎにまで発展してしまった。
人々の自宅待機や各種イベント・集会の自粛から始まって入国禁止措置まで、どれも経済活動を阻害し人々の所得減が深刻化する。
それは何としても阻止しなければと、米欧日など先進国そして中国は前例のないほど巨額の景気対策に踏み切った。
各国の中央銀行は無制限に近い金融資産買取で、いくらでも資金を供給するぞと発表している。
なんのことはない、せっかく崩れ出していた金融バブルを、さらに大掛かりで燃え広がらせようとする方向である。
もちろん、コロナ問題による人々の生活や経済への悪影響を一掃させるため世界が一致協力するのには、なんの依存もない。
したがって、われわれ長期投資家もますますをもって、企業の応援投資に力を入れたい。
その横で、しっかりと先行きの読み込みをしておこう。 すなわち、将来のバブルからインフレの可能性についてだ。
コロナ問題がいつ収束するかだが、そこからの経済的な反発はすさまじいものとなろう。
おそらく、半年から1年もすれば世界経済は急回復し、元の落ち着きを取り戻そう。
問題は、そこから先だ。 大量にばら撒かれたマネーは実体経済の回復に大活躍した後、次の舞台を求めだす。
まともな活躍舞台が提供されないと、あり余った資金は必ずバブル化して暴れ出す。 それが、マネーの本性である。
どうも、今回はバブル騒ぎがインフレにまで行ってしまいそうな予感がする。
このあたり、これから折にふれて書いていくことにしよう。