さわかみファンドの20周年を感謝して、全国のファンド仲間に御礼を述べようと各都道府県をまわっている。
そこで、社長が繰り返しているのは、次の言葉である。
この10年ほどの株高に乗って「貯蓄から投資へ」が進んでいる。
また、NISA や「つみたてNISA」といった税優遇措置、そして企業型DCや「iDeco」などの制度が矢継ぎ早に制定されている。
この流れは大事にしたいところである。 まだ、よたよた歩き程度の流れだが、一刻も早くしっかりした足取りとなって欲しいもの。
しかしながら、このまま一本調子で株高が続いてくれかどうか、そこが問題である。
世界的なゼロ金利やマイナス金利と異常なまでの資金大量供給が、果たしてどこまで続くのか?
そのまますんなりと世界経済の健全なる発展へとつながってくれればいいが、その前に大きな混乱は避けられないかも。
世界の株価はじめ金融商品が大きく売られる展開にでもなった瞬間、この10年間の投資シフトが水泡に帰してしまう。
まだまだ慎重ながらも、ようやく投資への一歩を踏み出した個人は大痛手を食らって、「うわーっ、投資って怖い」となる。
一方、大多数の人々は「投資しようか、でも怖い」といって、まだ躊躇している。 そして、大痛手を食らった人たちの姿を目撃する。
その結果、投資を始めた人も、まだ思い悩んでいた人たちも、「投資は、やはり怖い、リスクが大きい」が、実体験として刷り込まれる。
つまり、せっかくの「貯蓄から投資へ」の流れが、とん挫することになる。 そして、「やはり預貯金の方がいい」に戻ってしまう。
むかし流行った、「銀行さようなら、証券こんにちは」以来、幾度も繰り返してきた投資への流れが、またまた途切れることになりかねない。
ちょっと待てだ。 今回は違う、そう断言できる。 われわれ長期投資家が存在し、着々と地歩を築いている点が違う。
たとえ世界の金融マーケットが大混乱に陥ったとしても、たとえ多くの人たちが右往左往しても、長期投資家は平然としている。
そして、皆が売り逃げに走る中、こちらはむしろチャンスとばかり、敢然と買い向かう。
まさに長期投資家の真骨頂発揮だが、その姿が投資はじめての人たちに鮮烈なモデルとなる。
株式市場が大混乱をきたしている中、応援しようと狙いを定めている企業の株を、安値でどんどん買い仕込みしているのだ。
投資とは、そういうものだということを、まざまざと見せつけられる。 それでもって、本当の長期投資というものを知ることになる。