殖やしながら、お金をつかおう

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1970年代から80年代の前半にかけて、欧米では成熟経済に突入していった。

成長率がガクンと鈍り、給与収入も伸びないどころか下がり気味となり、人々の生活はみるみる厳しくなっていった。

そこへ、第1次、第2次石油ショックが襲ってきた。 10年間で原油価格が10~11倍となり、凄まじいインフレが襲ってきたから大変。

ダブルパンチを食らった欧米経済は悲惨な状況に追い込まれた。 当時、欧米でその様をずっと目撃していたが、ひどいものだった。

一家の生活を守るためにはと、人々は2つ3つの仕事を掛け持って、なんとか収入を増やそうと必死に頑張った。

そこで登場してきたのが、英サッチャー首相であり、米レーガン大統領だった。

お二人とも、規制緩和や民営化と大幅減税で、民間の資金と活力を動員する。 それでもって、経済活性化を図るべしとした。

この非常時、いま動ける人から、とにかく動き出してくれ、国はそれを期待するという政策方向だ。

最初は面食らったが、3年もするとあちこちで動きが出てきだした。 民営化で自由に行動できて、大幅減税ときた。

これは動いた方が得だとなり、民間の資金と事業意欲が新しい産業を生みだしていった。

その典型が、金融ビジネスである。 とりわけアングロサクソン型の市場経済やグローバル化で世界をリードするに至った。

そういった流れの横で、案外と見過ごされがちなのが、お金をつかう人たちが静かに増えていったことだ。

多くの人たちのあまりの悲惨な状況に見て見ぬふりはできないと、寄付がどんどん集まるようになっていった。

教会への寄付が、全米各地で毎日の炊き出しとなり、貧しい人たちに食を与えた。

国や地方行政が財政難で身動きが取れなくなった横で、NPOが寄付をベースとして社会事業を積極化していった。

民間資金が新規事業に、あるいは寄付を通して経済の現場にまわることで、欧米の経済が80年代後半から自律的に動き出した。

成熟経済の活性化だ。 新興国のように爆発力はないし、これといって派手ではないが、じっくりと欧米経済は伸びていっている。

いつも書いているように、日本も民間の預貯金マネーがどんどん経済の現場にまわっていくべきである。

その中で、誰もが納得して動き出せるのが、「先ずは、本格的な長期投資で財産づくりをはじめよう」だ。

長期投資で資産が殖えはじめると、気持ちの余裕も出てきて、お金をつかえるようになる。

寄付でもいいし、文化・教育・芸術・スポーツ・技術・NPO・ボランティアでもいい。

そういった分野でお金がつかわれれば、そこに新しい産業が生まれるし、雇用も発生する。

動いてみれば判るが、日本経済はいくらでも元気になれるし、新しい産業を生み出せるのだ。