マーケットや金融ビジネスは、12月30日が年内の最終日となる。 したがって、われわれは来週の月曜日が仕事納め。
一般的には、今週の金曜日、27日が仕事納めだろう。 したがって、年末のあいさつまわりや大掃除に追われる1週間となろう。
昔から株式市場では、掉尾の一振という言葉があって、年末の株高を期待したものだ。
以前なら12月28日、最近では12月30日の大納会を株高で〆て、正月のモチ代やお年玉にしようというわけだ。
そういった風物詩が、どんどん薄れていっているのは残念なことである。
単純な、昔は良かったの懐古趣味でいっているのではない。 株式投資の変質を憂えているのだ。
機関投資家による先物などでのディーリング投資が幅を利かせるようになって、株式市場はどんどん無機質化の傾向を強めている。
かつては個別株投資が中心で、投資家のいろいろな思惑が入り乱れて、株式市場は百花繚乱の賑わいを見せていた。
だから、掉尾の一振といっても、上がる株やら下がる株やらで、悲喜こもごもだった。
その中で、株価全般が上がってくれれば、いい気分で年越しができると皆で歓迎した。
ところが最近は、インデックス運用やETFが主流となってきて、株価形成がやたらと無機質になってきた。
そこへ、1秒間に1000回を超す高速売買とやらをコンピュータがやってくれるから、思惑もなにもあったものではない。
そうなってくると、個々の企業のビジネスやら業績動向など、どうでもいい。
株価全般に影響を与えるような、マクロ指標や国際情勢の変化を時々刻々と追い回すのが重要となる。
その上で、インデックスに影響を与える度合いの強い銘柄を集中的に売買するわけだ。
こういった機械的な運用というか、森を見て木をみないディーリング運用が主体となってくると、それだけ個人投資家の出番はなくなっていく。
そのうち、株式投資という言葉がなくなってしまい、株式のディーリング運用だけになりかねない。
全体の流れをみる限り、そう言いたくものなる。 ところが、どっこいだ。 われわれ長期投資家がいるのを忘れてもらっては困る。
ディーリング運用花盛りの株式市場で、堂々と成績を残していっている長期投資家の存在は、これからますます注目されよう。
そして、いずれは株式市場での主役といえば、長期投資家とディーリング運用ということになる。
実は、これって1970年代前半までの株式市場では、ごく普通の姿だった。 そっちの方向へ、先祖帰りするのだろう。
昔は投機家というのもいたが、まともな長期投資があってのこと。 ディーリング運用の世界では、投機家の出番などない。