ここへ来て、株価全般が急激な戻り局面に入っている。 上がるのは結構だが、その中身が気に食わない。
さわかみファンドの基準価額がどんどん上昇していってくれるのは、それは当然のことである。
なにしろ、長期視野でもって企業価値の高まりを読み込んだ選別投資に徹しているのだから。
つまり、さわかみファンドに組み入れている企業の株価は、上がるべくして上がっているわけだ。
問題は、「オイオイ、本当に大丈夫かよ」と言いたくなるような企業群だ。 そういった企業の株価も元気よく上がっている。
昨今の異常なまでの金融緩和とゼロ金利ならばこそで、やたらと幅を利かしているゾンビ同然の企業は数多い。
企業経営というものは、常に資金繰りと金利コストに追いまくられるもの。 その悪戦苦闘でもって経営者は鍛えられていく。
ところが、大量の資金供給とゼロ金利というビジネス環境下では、どんな甘っちょろい経営者でもそこそこやっていける。
甘ったれた企業経営を後ろ押しするかのように国や日銀は、これでもかこれでもかと金融緩和政策を強化している。
その証拠に、日本全体の生産性はさっぱり上がってこないではないか。
ゾンビ企業の跋扈が、まともな企業の経営の足を引っ張っているから、全体の生産性が上がらないのは当然だろう。
それどころか、まともな企業の経営そのものまでも、大量の資金供給とゼロ金利で弛緩させている。
そんな甘ったれた企業経営を跋扈させる一途の金融環境下での株高だ。 中身が悪すぎる。
というか、前から主張している張りぼての景気を象徴するかのような、吹けば飛んでしまう薄っぺらの株高にすぎない。
こんなバブル高に踊っていると、どこかで多くの投資家が真っ青になるのは眼に見えるようだ。
市場の大事な機能である、競争力を失った企業を退出させて経済活動の健全化を図る作用を、国や日銀は押しつぶしている。
その反動、つまり経済合理性の鉄槌はいつか必ず下る。 市場のしっぺ返しだ。
その時は株式市場の大きなクラッシュと、次いでまともな企業の株価のV字回復が見られよう。
その時だ、さわかみファンドの基準価額が大きく羽ばたくのは。 まさに、疾風に勁草を知るのたとえ通りの展開となる。