年収1千万円でも低所得層?

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今回のハワイ出張で、眼を見張らさせられたのが諸物価の上昇ぶりである。

観光客がショッピングなどで、お金を落としてくれるからというだけでは、とても説明しきれない。

たしかに観光客のショッピングは、ハワイ経済にとって大きなビジネスであるのは間違いない。

それは、数年前までも同じことで、今回さらにビックリしたというわけではない。

驚いたのは、ハワイの一般市民が諸物価の恒常的なジリ高でも、なんとかやりくりしながら生活していることだ。

何人かの現地人と話をしたが、年収1千万円でも低所得層だといっているのには、心底驚いた。

かといって、多くの人たちはサービス産業の末端で仕事をしており、それほど高給取りとは思えない。

それが故に、共稼ぎの夫婦所帯で、どちらも二つ目の仕事を掛け持ちしている。

つまり、夫婦で四つの仕事をこなして、なんとか一家の生活を賄っているわけだ。

どこまで本当か、確かめる時間はなかったが、あちこちの街角に店を出しているABCストアで、かなりの物価高は実感させられた。

もうひとつは、ハワイでの生活費が高いから、若い人たちはどんどん米本土へ移り住んでいるとのこと。

米本土の方が生活費が安いから、子どもたちは米本土の大学や各種学校へ行き、そこで生活基盤をつくってしまう。

そして、もうハワイへは戻ってこない。 年に一度ぐらい観光客として、家族連れで親を訪ねてくるぐらい。

これには、いろいろ考えさせられる。 たしかに観光が盛り上がってくれることは、来訪客がお金を落としてくれるからありがたい。

一方で、観光産業の興隆は世界中から資本の論理を招き寄せて、地域住民のもともとの生活を圧迫するという側面は無視できない。

現に、ハワイでは世界中から高級ブランドや高級ホテル、そしてマンションなどの開発業者が押し寄せて、お金が舞っている。

それが結果として、ハワイ現地人の住居費はじめ生活費全般を押し上げてしまっているのだ。

これでは、観光リゾート地としての金ピカな発展はあっても、地元住民を置いてきぼりにした薄っぺらな経済となるだけだ。

下手したら、地元住民はみな逃げ出してしまう。 気がついたら、観光産業従事者たちだけが住むハワイとなってしまうかもしれない。

そんなハワイでは、つまらない。 地元の人たちが、しっかりとした生活基盤を持てるようなハワイ経済を組み立てていく必要がある。

その上に、パワースポットという地の利を生かした観光産業がある。 そういった方向に持っていかないと、いまの金ピカ経済では長続きしない。

今回のハワイ出張で、さわかみグループが地元民の生活や文化の分野で、なにかお手伝いができないか、これからの方向が固まってきた。