20年間の責任を負う覚悟あるのか

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投信の販売にかかわっている人達が集まる研修セミナーに行ってきた。

せっかくゲストとして招かれたのだから、出席している人たちに投信ビジネスの厳しさを知ってもらおうと、相当にきつい話をした。

投信販売の厳しさではない。 投信を販売する側の覚悟について、厳しさに欠けている日本の現状についてだ。

しばしば問題となる投信の乗り換え営業や回転売買の横行など、そもそもからしてお話にならない。

昔からの悪しき慣行で、証券はじめ銀行や郵貯など、そういった愚行をどういった神経でやっているのか理解できない。

一方で、そういった短期売買のギャンブル投資で、儲かった損したの繰り返しに慣れた個人投資家がいるのも事実。

問題は、そのような日本の投信ビジネスの愚行を、はじめての投資家に撒き散らすことだ。

今般の郵貯問題でも、その一端が露呈した。 郵貯に熱い信頼を置く人たちに、ノルマ営業を押し付けていたわけだ。

信じられない罪作りである。 営業の末端は販売実績でもって手当が増減するからといって、投信販売にのめり込む。

郵貯の中間層や上層部は、とにかく販売実績を挙げろとはっぱをかける。

それが、どういった投資結果になろうが知ったことではないの顧客無視で無責任もいいところだ。

さて、今日の本論である、積立て投資に入っていこう。 「つみたてNISA」についてだ。

当初、金融庁が「つみたてNISA」に該当する投信ファンドを審査したところ、50本ほどが選定に残った。

それに該当しない6000本あまりのファンドは、長期の投資に適わないということだった。

この現実に投信業界は何の反省もなかった。 それどころか、その後100本余りを「つみたてNISA」に滑り込ませた。

既存のファンドが適用されるよう頑張ったのか、大慌てで新ファンドを組成したのかは別として、気楽なものである。

つみたてNISAは現状において、20年の積立て投資で財産づくりをしようということだ。

ということは、現時点で160本を超す「つみたてNISA」用のファンドのうち、一体どれだけが20年間の責任を負う覚悟があるのか?

投資運用のことだから将来の成績は約束できないといって逃げてはなるまい。

20年ずっと積立て投資をしていってもらう顧客のために、その成果をなんとしても届けようとする運用体制は絶対不可欠である。

それぞれの投信がどのような運用をするかは別として、20年間の長期投資をやり続けるだけの意思と準備はあって当たり前。

果たして、現実はどうなのか? 自分たちが販売しているファンドそれぞれを、しっかりチェックするのは皆さんの責任ですよ。

そう、運用サイドも販売担当も投信ビジネスに携わる以上は、投資家顧客の財産づくりに本気で責任を負う覚悟と情熱が問われるのだ。