つくづく感心するに、日本経済の地力は凄いものがある。 成熟経済に突入して30年余り、まだなんとかもっている。
なんとかもっているの中には、いつも指摘している国家財政の綱渡りや国の借金だけではない。
いろいろな分野で、いまだに経済も国家財政もピカピカだった頃の鷹揚さが残っている。
たとえば、課税最低限が世界的にみても驚くほど高い。 税金が免除される低所得者の領域が、日本は断トツに大きいのだ。
これだけ国家財政が火の車になっているのだから、より広い裾野の人々にも税負担してもらってもいいはず。
ところが、個人所得税の課税最低限の引き下げなど全く検討されない。
租税特別措置法も同様である。 ほとんどが時限立法なのだが、少しずつ形を変えて期限を過ぎても存続している。
他にも、各種の補助金や外郭団体など既得権というか税優遇というか、そんなものがはびこっている。
そういった合理性を欠く制度や慣習を抜本的に見直せば、財政の負担もそれなりに軽くなる。
また、税金で食っているだけのゾンビ企業や政府系団体を大幅に減らせば、人手不足の解消にもつながる。
それはそのまま、さんざん話題となっている日本の生産性の低さにおいても、一気に挽回できる。
残念ながら、日本の現実は反対方向である。 なにごとにも先延ばしで、抜本的な改革というものには手を付けようとしない。
そういった決められない、変えられない政治が日本経済の足を引っ張っている。
先に日本経済の地力と書いたが、そういつまでも続かない。 相当に無理を重ねてきているのが現状である。
どこかで、ガタガタと崩れ出すのは避けられまい。 折にふれて書いている、ガラガラポンもあり得る。
そうなった時に、否応なしで突きつけられるのは「自助の努力」である。 なにがあろうと生きていかなければならない。
生きていくには、自分で自分の食い扶持を探し求めるしかない。 そんな時になっても、長期投資は大きな味方である。
ちょっと荒っぽいことを書くが、いっそのこと早くガラガラポンになってくれた方が、いいのかもしれない。
それだけ、日本の立て直しを早く始められる。 それも、日本経済の地力が残っている間に。