郵貯や簡保が揺れている。 日本郵政グループは民営化の流れで、自前の収入源を確保しようと懸命である。
そのひとつとして、投信販売など手数料ビジネスに力を入れてきた。 それが、ノルマ営業になり今回の不正販売問題となった。
収入源確保といっても、もっと立派でさすがと称賛される方法がある。 それなのに、どうして既存の金融業界の轍を踏もうとするのか、さっぱり理解できない。
もう20年近くになるが、ずっと国民ファンド構想を提唱してきた。 国民ファンドでなくても、郵貯ファンドでもいいとも言ってきた。
国のような絶対的な信用のあるところ、したがって郵貯でもいいのだが、そこが国民の資産形成につながるような長期保有型ファンドを2本設定する。
かつての定額貯金のように安心して財産づくりができる投信ファンドを出せば、170兆円の郵便貯金のうち50兆円ぐらいは、すぐファンド購入に向かってくれる。
もちろん、販売手数料はゼロだ。 顧客からは、信託報酬だけいただく。 それも運用成績、つまり基準価額に入っているから、実質的な顧客負担はゼロである。
ファンドの信託報酬は1%とすれば、年に5000億円の収入となる。 長期の財産づくりをお手伝いしながら、5000億円の収入なら堂々たるもの。
具体的には、2本のうち1本は日本株に特化したファンドを設定し、郵貯の顧客に販売する。
日本株の現物運用というテーマで、投信会社や投資一任業者にオープンコンペで運用競争させるのだ。
最初の3年間は、応募してきた各社に均等割りで運用資金を配分する。 4年目からは、累積の成績でもって資産の配分額に差をつけていく。 それでもって、より長期の運用成績最大化を競わせる。
運用状況ならびに成績は常時、国民ファンドあるいは郵貯ファンドのHPで公表する。 それが、コンペ参加各社の競争意識を否応なしに高めることになる。
その成果が郵貯ファンドの基準価額の上昇となって、投資家顧客に喜んでもらえる。
2本目は、ファンド・オブ・ファンズにして郵貯サイドが、世界の本格的な長期運用ファンドを買いにいくことで運用とする。
運用といっても至極簡単。 もともと本格的な長期運用をやってくれるファンドを10本ほど選んであるから、安心して長く付き合える。
その上で、各ファンドが何らかの理由で基準価額が低迷している時を狙って、どんどん買い増しするのだ。
その作業をていねいに続けていけば、個々のファンドが頑張ってくれるから、それらを合算した郵貯ファンドの成績は安定度高く上がっていくことになる。
このようなファンドを2本だけ設定して、郵貯のお客様に提案していくのだ。 どちらも長期的にはしっかりした成績を残してくれる。
そういった投信販売なら、郵貯の職員も堂々とかつ、いくらでも積極的に販売できる。
彼らの報酬? 預かり資産から信託報酬をいただくが、その一部を戻してやればいい。
どれだけ売ったかではなく、どれだけ預かり残高を積み上げたかが報酬となれば、顧客との利益相反はない。
こういう投信ビジネスなら、郵貯職員も思い切り力を入れて、お客様に奨められるはず。