土曜日のセミナーは100名を超える盛況だった。 大半が投資経験ありの人たちだったので、どうしても相場がらみの質問が多くなってしまう。
相場なんて、個人はもちろん機関投資家やディーラーなど、多くの投資家のその時々の参加の仕方によって、どうにでもなる。
買いの方へ参加が傾けば、相場は上がる。 売り方が優勢となれば、相場は下がる。
どちらの方向でも、参加者が増えれば増えるほど相場に勢いがつき、それが新たなる参加者を呼び込むことになる。
そして、相場にはいつも思惑が働くが、買い相場の形成には案外とすごい力を発揮する。
こういった相場の勢いや思惑は、なにかの加減でふと方向を変えることもしばしばである。
たとえば、強い上昇相場に乗ってゴキゲンで買ってきた投資家も、「このまま、相場は上がり続けるのかな? どこかで下げに転じるかも」といった、不安心理が心の隅でくすぶり始める。
それでも相場上昇の勢いは強いから、「まだまだ行けるだろう。 もうしばらくはついていってみよう」で、買い方を続ける。
そのうち、なにかの加減で相場はドスンと下がる。 それを見て、「やはり思った通りだ!急いで売らなくては」で、みなが売りに殺到する。
強い上昇相場の中にも潜在していた「売らなければ」の心理も、相場形成に大きな役割を果たす。
このように、相場には需要と供給の力のせめぎ合いにプラスして、勢いや思惑そして反対の方向へ舵を切る潜在意識など、いろいろなものが絡んでくる。
そんな相場動向を読もうなんて、評論家や予想屋にやらせておけばいい。 あるいは証券会社が手数料商いのために、あれこれもっともらしく語る。
われわれ長期投資家は、どんな時でも相場動向にはつかず離れずだ。 決して、相場にどっぷりと浸からない。
そして、大きく売られて安ければ買いに入るし、上昇相場が続けば売り上がって利益確定する。
いつでも相場につかず離れずのスタンスを守り、自分の好きにマーケット参加ができるようになると、投資はがぜん楽になる。
マイペースで買ったり売ったりする、それも自分のリズムでもって行動するから、相場に振り回されることはない。
投資運用において、相場に振り回されることなくマイペースでの市場参加ができるかどうかは、生き残りの絶対条件である。