弦楽奏者のオーディション

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昨日から東京で、ヴァイオリン(第1、第2)・ヴィオラ・チェロ・コントラバス奏者のオーディションをやっている。

イタリアでもトップレベルを自他ともに認めるボローニャ・フィルハーモニーの音楽監督と首席5人を招聘して、優秀な奏者を選抜しようというもの。

コンサートマスターのパオロ・マンチーニをはじめとして、各パートの首席たちは折り紙つきの超一流弦楽奏者である。

その証拠に、彼らはミラノのスカラ座など主要歌劇場で、ひんぱんに首席客演奏者として出演している。

しかし、いくら好条件で移籍を持ちかけられても、ボローニャフィルの方がいいといって断り続けている。

もともとボローニャフィルは、総裁のジョオルジョ・ザニョーニ氏の人間性に惹かれて集まった演奏家集団である。

ザニョーニ氏は世界的なフルート奏者で、イタリアの至宝といわれているすごい人だが、おそろしく人間っぽいところに奥深い魅力を感じさせられる。

彼の下に集まってくる演奏家たちは、いずれも音楽レベルが一流なのは当然のこと、人としての優しさや仲間への信頼感をとても大事にする。

それが、ボローニャフィルの凄いハーモニーを醸し出してくれるわけだ。 なんとも言えないほど柔らかく、それでいて力強い一体感だ。

そのオーディションだが、若い才能ある演奏家たちを発掘して、世界の舞台に送り出すのを目的としている。

合格者には、8月終わりから9月中旬にかけて、ボローニャでのマスタークラスに参加してもらう。

そこで首席たちから集中的に個人レッスンを受け、とりわけ右腕のつかい方を学ぶのだ。 彼らいわく、左手は技術だが、弦を持つ右手は芸術だと。

いかに柔らかく、伸びやかに、そして力強く弦を操れるか、それを徹底的に叩き込まれるのだ。

数週間の特訓で、びっくりするほど伸びる。 昨年はボローニャフィルの定期演奏会にも出演が許されたほど伸びた。

歌手もそうだが、演奏家たちのメキメキと力をつけていく姿を見守るというのは、なんとも贅沢なものである。

育てているというと大げさだが、先々の楽しみがどんどん広がっていくのは、気分の良いもの。

これも先行投資である。 彼ら彼女らが世界で大きく羽ばたく姿を思い描いて、どんどんチャンスを与えてあげたいものである。