はじめての満員御礼

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昨晩、九段のイタリア文化会館で「超贅沢な5重奏」をやらしてもらったが、満席の大盛況だった。

さわかみオペラ財団が本格活動を始めて5年になるが、ようやく満員御礼を喜べるところまで来た。

会場は370席と小さめだったが、それでも満席は満席であって、ありがたいことだ。

最高のオペラや音楽を、できるだけ安い価格で多くの人々にお届けしようというのが、われわれの目指す方向。

したがって、チケット販売だけではとても採算に乗らない。 かといって、興行的な成功に走ろうとしないから、企業からの協賛金も集めにくい。

どうやって、財団運営を賄っていくか? なんとしても賛助会員やファンクラブを拡充していくことだ。

われわれはアミーチ会員といっているが、多くの仲間に熱く支えられて財団運営ができるようにしていきたい。

そのためにも、絶対に安っぽいものはやらない、どこもついてこれない水準の公演をしていく、という方針を貫いてきた。

ちょっと青臭いが、とことん本物を求める姿勢に対する評価は、じわじわと広がってきている。

昨晩の満員御礼も、さわかみオペラ財団の公演を楽しみにしている人々が増えてきていることの表れだろう。

財団活動が軌道に乗るまでには、もう少し時間がかかろうが、この路線は崩さない。

ひとたび軌道に乗ったら、これほど強い運営はない。 最高のオペラや音楽を楽しみにしてもらえる仲間が、最高の公演を熱く支えてくれるのだから。

さわかみオペラ財団は、ますます青くさく本物を追求していける。 さわかみファンドと、まったく同じ方向性である。

なんともありがたいことに、ボローニャフィルと親しくしている。 最高のものをやるという我が財団にとって、最高のパートナーである。

昨晩も、われわれの仲間である、ボローニャフィルハーモニーの弦楽器の首席5名が、すばらしい演奏をしてくれた。

演奏技術や音楽性はもちろんピカ一だが、なによりも人間味あふれるふくよかな音色に酔わされてしまう。

とにかく、すごい連中の集まりである。 それは当然である。 すこし説明しよう。

ボローニャフィルは独自の運営をしており、ボローニャ歌劇場のオペラ公演では演奏を手伝うものの歌劇場の支配下には入らない。

ボローニャ歌劇場は市営で、団員は公務員だから身分は保証されている。 それだけ、組合がどうのといった、ややこしさがついてまわる。

一方、フィルは民間団体だからメンバーに甘えは許されない。 演奏家としての技術や音楽性でもって身分を勝ち取る必要がある。

昨年も数名の補充に、世界中から1200名の応募があったほど人気の高いボローニャフィルだ。

そこでの首席となると、演奏力は世界的に折り紙つきである。 だから、彼らは主要歌劇場からひんぱんに首席客演奏者としての依頼を受けることになる。

そんなわけで、昨晩はとんでもないレベルの演奏を来場者の皆さんに堪能してもらえて良かった。