働くという美徳と、生き甲斐

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歴史をひも解くまでもなく、悪貨が良貨を駆逐していった例は数限りない。 良い文化や風習も、知らず知らず失われていっている。

最近で最も気がかりなのが、まじめに働くという美徳がないがしろにされようとしていることだ。

働き方改革やら、ワークライフバランスやら、サービス残業やらの問題視は、どうみても一律化しようとし過ぎである。

人それぞれ好きにやればいい。 12時間でも15時間でも働きたい人がいてもいいし、のんびり働きたい人がいてもいい。

ところが、過重労働だ、健康を蝕む、家族を大切にしないといった角度からばかり、世の中は大騒ぎしている。

たしかに、過労による自殺といった悲しい出来事は2度とないようにしたい。 会社という組織も、その点は十分に配慮したい。

だからといって、国や社会を挙げての「働くな、働くな」の大合唱には、大いなる違和感を覚える。

会社は英語でカンパニーというが、一緒にパンを食べるという意味である。 共に仕事していこうということで仲間が集まったものだ。

一緒に仕事していこうとする中から、有形無形の価値がいろいろ生み出されるが、そこに生き甲斐といったものを見つけられる幸せ感は、お金に換えられないものがある。

技術伝承の典型だが、先輩が後輩に教え込んでいく過程で、どれだけの愛情が注ぎ込まれていることか。

それを数値化し、コンピュータ化でマニュアルを作成すれば良しという。 果たして、それでもってモノづくりの誇りを伝承できるのか。

世の中は、AI や IoT で大騒ぎしているが、AI や IT に愛情はない。 そんなところで、働くことの生き甲斐が見つけ出せるのだろうか。

働くというのは、ただ生活費を稼ぐだけではあるまい。 皆さん、そのあたりを週末にじっくり考えてみてください。