経済活動はいってみれば、需要と供給の追っかけっこである。 ニワトリと卵みたいなもので、どちらが先とかはどうでもいい。
大事なのは、需要も供給も大きくなっていくことである。 それが経済成長につながり、皆が豊かになることにもなる。
ところが、ある程度モノが買い揃えられた成熟経済の段階に入ってくると、国民の需要が買い替え中心に変わっていく。
そうなると、それまでの新規需要の拡大に対応してきた供給力が、突如として過剰になる。
企業は投資意欲を減らすどころか、過剰設備の廃棄に追われる。 それが、この27年間の日本経済低迷の大きな要因である。
ところが、政府や日銀は企業の投資意欲を高めようと、ジャブジャブに資金をばら撒いたりマイナス金利にするばかり。
政策のミスマッチというしかない。 高度成長期の政策発想をいまだに引きずっているのだ。
では、どうすればいいのか? 国民にお金をつかわすこと、それに尽きる。 それが、成熟経済を成長させる起爆剤となる。
モノへの需要が満たされたのなら、その先で国民がお金をつかうように仕向けてやるのだ。
いつも書いているように、文化・教育・芸術・スポーツ・技術・寄附・ NPO ・ボアンティアといった分野で、お金をつかう文化を醸成することで、日本経済は新しい成長路線に入っていける。
経済活動なんてものは、人々の生活が集まったもの、そしてそれを支える企業のビジネスとで、ほとんどが出来ている。
ごくごく自然発生的なもので、そうそう国や政府が音頭を取って方向付けするものではない。
そうはいうものの、モノへの消費から生活の質を高める方向で、お金をつかう文化を醸成するには、国民の間で大きな意識変化が問われる。
そこは、やはり国の出番である。 たとえば、最近は生活に苦しんでいる人達がどんどん増えている。
それに対し、寄付文化を高めることで、その人達の消費につなげることができる。 つまり、需要の創出であり、立派な景気対策となる。
上に書いた分野では、お金を必要としている人達が一杯いる。 そういったところへ、お金がまわっていけば、即座に消費につながる。
いま、個人や家計の預貯金残高は873兆円ある。 その3%でも、文化やスポーツ・寄付などに向かえば、たちどころに日本経済は5%成長してしまえるのだ。
5%成長すれば、まわりまわってお金をつかった人たちにも、なんらかの収入となって戻ってくる。 つまり、誰にも損にならない。
経済なんて、そういうものなんだがね。