お金をつかえない国の悲しさ(前編)

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バブルが弾けて27年たったが、日本経済はずっと低迷とジリ貧に喘いできた。

その間、バブル崩壊による資産デフレが経済活動全般にも蔓延し、日本中がデフレ状況に陥った。

歴代の政権は景気浮揚に腐心し、総額で500兆円に迫る予算を計上してきた。 単純計算すると、日本経済を平均して3.7%成長させられたはずの巨額予算である。

その中でも、安倍政権はデフレ脱却に強い覚悟で臨んできて、ようやくその目処が立ってきた。

とはいえ、アベノミクスを含め日本経済を活性化させる政策の効果は、いまいちの状態に留まっている。

その一番の理由は、国民がお金をつかわないところにある。 消費がなかなか伸びてこないのだ。

もうこれといって買いたいものがない、せいぜい買い替え需要しかない、それが個人消費を低水準に抑えてしまう。

成熟経済の罠というか、宿命みたいなものに日本経済はとらわれてしまった。 その一方で、国民はせっせと貯め込むばかり。

ちなみに、バブル崩壊後27年間で、個人金融資産のうち現金・預貯金残高は460兆円も膨れ上がっている。 (日銀統計)

国が投下した景気対策予算の大半が、個人の預貯金残高に収まってしまっているのだ。

これでは、経済が伸び悩むのも当然である。 預貯金に積み増した460兆円の半分でも消費にまわっていたならば、これも単純計算ながら日本経済の成長を1.7%分も押し上げていたことになる。

なんと惜しい話である。 預貯金に置いておいても、年0.01%の利子では、まったく殖えない。

それどころか、経済成長にまったく貢献しないから、国全体で将来不安が増すばかり。

何ひとつとして、良いことはないのだ。 この続きは、明日に。