経済合理性という絶対的な審判

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マーケットは荒れ気味の展開となっているが、いずれは落ち着くところに落ち着くだけのこと。

落ち着くところというのが、その時々の経済合理性から妥当と思われる価格なり金利の水準である。

価格にしても金利にしても、その時々の需要と供給の力関係を反映している。 時々刻々と変化していく価格や金利が情報となって、次なる需要や供給を喚起し、それが新たなる力関係つまり価格や金利を形成していく。

このダイナミックな展開こそが、自由主義あるいは資本主義経済の健全性を支える、見えざる力となっていく。

ところが往々にして、マーケットでの需要と供給の力関係が一方に大きく偏る展開となる。 そして、その偏りが経済合理性のしからしめるところ、すなわち合理的な価格や金利の水準だと皆が信じ込むようになる。

たとえば、リーマンショック後に米国、 EU、日本が史上空前といわれる金融緩和を断行した。 そして中国は40兆円もの巨大投資に踏みきった。 世界経済の60%前後を占める巨大パワーが、未曽有の資金供給に走ったのだ。

それから9年余、ジャブジャブにばら撒かれたマネーを前提とした経済活動が世界をリードしてきた。

いってみれば、過剰なる資金供給がもたらしている価格や金利をも、経済の現場では合理的な水準とみなされるようになってきたわけだ。

それが、不動産や株価のバブル化を是認し、世界の景気回復に不可欠とされてきたのが、最近までの展開である。

さすがに、このままでは危険だという認識で、米国の中央銀行にあたる FRB が出口戦略に舵を切った。

超のつく金融緩和政策を終了し、金利水準を正常化させようとする FRB の行動は、現時点における経済合理性と思われる判断からすると、「おいおい、それはないよ」となる。

それが、2月に入ってからの株価暴落につながったわけだ。 さて、どちらが本当の経済合理性だろうか?

言うまでもなく、史上空前の金融緩和やマイナス金利といった、リーマンショック後の各国の政策そのものが、経済合理性を歪めたものである。

つまり、FRB は経済活動の健全化に向けて、適正なる価格や金利の水準に戻すべく、中央銀行としての役割を果たしているのだ。

その点、2%インフレだけに凝り固まった日銀には、どこまで健全なる経済活動の意識があるのか、大いに疑問である。