ここまで書いてきたように、世界の金融や金利の正常化の流れがはっきりしてくるにつれて、日本の財政や日銀の財務悪化が一気に表面化する。
表現を変えると、リーマンショックで先進国中心に史上空前の資金供給に走り、政策金利もゼロ状態にまで引き下げた。
その流れに悪乗りするかのように、日本もジャブジャブの金融緩和やマイナス金利へと、アクセルを踏んだ。
ここへきて、米欧が金融バブル崩壊の後始末にめどをつけ、金融や金利の正常化に舵を切りだした。
その流れに置いてきぼりを食らいそうなのが、日本なのだ。 置いてきぼりを食らうどころか、いまでも先進国で最悪の財政状態が、グラッと破たんに向かいかねないのだ。
政府当局や学者先生たちは、そんなことは起こり得ないという。 しかし、数字はごまかせない。
昨日成立した新年度の予算では、およそ98兆円の支出に対し、税収など収入は59兆円で、39兆円の財政赤字。
それを、いろいろなやり繰りと33兆円の国債発行で賄うという。 国債発行は金融機関などが引き受けよう。
しかしだ、その裏には日銀が毎年80兆円の国債を金融機関から購入するという政策がある。
事実上の財政ファイナンスである。 法律で定められている禁じ手を、政府日銀は堂々と犯しているのだ。
日銀が予算の穴埋めをしてはならないと、法律で定められている。 それを破って平気というのは、危険極まりないこと。
金利が上昇に転じたら、どれだけ危険かすぐ現実となる。 先ずくるのは国債価格の下落で、新規発行条件が悪化し、財政赤字を埋める手立てが講じれなくなる。
そうなると大変。 98兆円の予算のうち、社会保障費が33兆円、国債費が23兆円ある。 これらは絶対に削れないどころか、毎年増え続けている。
ということは、残りの42兆円の予算執行が困難となり、行政サービスが滞ってしまう。 たとえば、ごみの収集ができなくなるとか。
そんなこと起こるはずがない? 皆そう思い込んでいるだけに、社会の混乱は想像以上となろう。