日本の金利、いずれ上昇の途に(その3)

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グローバルベースの金利裁定で、日本の金利も否応なしに上がっていく。 そこのところは理解できたと思う。

問題は、それがどれだけ大きな混乱を引き起こすかについて、政官民ともに鈍感すぎる点である。

たとえば、来年度の予算は98兆円近くで、税収は56~57兆円の見込みだから、40兆円を超す財政赤字となる。

40兆円を超す財政赤字に対しては、いろいろなやり繰りと35兆円ほどの国債発行で賄うとのこと。

既に950兆円を超す国債発行残高があるが、それがさらに上乗せされるのだ。 日本経済のおよそ2倍規模の国債発行残高である。

一方、日銀は毎年80兆円の国債購入を続けており、既に450兆円を超す保有残高となっている。

つまり、日銀による実質上の財政ファイナンスでもって、日本の国家運営が賄われているのだ。

この不健全きわまりない図式はいまに始まったことではないが、それも金利を低く抑え込んでいたから、なんとか切り抜けてこれた。

しかし、米欧に引きずられて日本の金利が上昇に転じてくると、この綱渡り財政はあちこちで崩れ出す。

一例を挙げると、もう17年余にわたって国は年35~42兆円の国債発行で財政を賄ってきたが、新発国債の受け手がいなくなる。

頼みの日銀は、金利上昇で当座預金の利払い費増と保有国債の値下がり損で、財務は急悪化する。

それでも国債を購入し続けたら、日銀の信用はガタ落ちとなり、悪性インフレに火をつけてしまう。

だからといって、国は日銀による国債購入の他に財政赤字を埋める手立てはない。 となると、財政破たんが現実味を帯びてくる。

由々しき事態が迫っているのだが、政官民ともども、まだなんとかなると思っている。

しかし、なんともならなくなって、お手上げとなる日も、そう遠くないことをしっかり認識しておこう。