先進国のほとんどで社会保障番号や納税者番号といったものが、ずっと前から実施されている。 それにあたるのが、日本ではマイナンバー制度であるが、長いことすったもんだした挙げ句ようやく法律で定められた。 だが、その実施には紆余曲折している。
もうひとつ、日本では世界でも例外的に税の申告作業を企業に委ねているのも特徴である。 企業など会社が従業員の給料から所得税や社会保障費などを源泉徴収して、税務署に納付してくれるのだ。
この二つに共通しているのは、国という名の下で高級官僚による中央集権制度が国家運営を担っており、民は黙ってそれに従いなさいとする明治以来の政策方向だろう。
マイナンバーなどに強く反発してきたのも、役所になにもかも縛られたくないとする国民というか庶民感情の発露がある。 ましてや、個々人の財産状況が筒抜けになるなんて、我慢できないということだ。
一方で、会社が税の申告や社会保障費の支払いを全部やってくれるのは楽でいい。 そういって源泉徴収にどっぷりと甘えてきたため、税の無駄遣いなどにまったくの無頓着で利権や既得権の跋扈を招いしまった。
そろそろ、なにもかも役所に任せてしまうのではなく、国家運営にもっと民意を反映させるということを、国民全員が真剣に考え直した方がいい。
なぜなら、このまま放っておくと日本の財政が破たんするのは免れないし、年金や社会保障などの財源も根底から揺らぎだすのは避けられないのだから。
もちろん、国や役所は大丈夫といっているが、どこまで当てにして良いものか。 早い話、国も日銀もすさまじい勢いで資金のバラ撒きを進めているが、これは明確なインフレ政策である。
すごい社会的な混乱が襲ってくることになるのだろうが、その時には国も役所も右往左往するだけとなろう。 結局、国民が割りを食らうことになる。
そうなってから大慌てするのではなく、一刻も早く健全な財政や経済運営の方へ舵を切るべきだろう。 それには、一番割りを食らう国民が自覚をもって行動に移ることだ。
実は、その第1歩がマイナンバー制度の普及促進である。 個人個人の所得状況が全部コンピュ-タ把握され、それに応じて税が自動的に徴収されるようになると、会社が源泉徴収することも不要となる。
コンピュータ把握を完璧にすれば、個人の財産状況が外部に漏れる不安も払しょくできる。 また、所得状況に応じて公平公正に税を徴収するから、税逃れはできなくなる。
そもそも、マイナンバーに反対する人達の中には、現行の税制度を上手いこと潜り抜けている人も多い。 その人達からの税徴収額は、意外と大きなものになる可能性が高い。
一方、個人個人が医療費その他の税還付を請求することになるが、その作業を通じて税金の使い道に対する関心が高まるといい。 国にあれこれ頼むのは構わないが、結局のところ国民がその資金を負担するのだから。
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