最近ずっと考えてきたことだが、日本経済の停滞感も先行きの不透明さも、いまのままでは解消しようにない。 思い切り発想を変えてしまわないことには、このままズルズルと時が過ぎていくだけとなろう。
政府日銀がいくら金利を引き下げ、資金を大量に供給しても、ほとんどの企業は積極的に投資しようとしない。 なぜなら、どこへ投資したらビジネス拡大につながるかのイメージが湧かないからだ。
もちろん、一部の企業は国に言われるまでもなく、どんどん積極拡大投資をしている。 そういった企業は、需要の拡大を先取りしていけるイメージを持っているからだ。
ところが、大半の企業にとっては国内で積極投資するニーズを感じない。 なにしろ、国内の需要は買い替えが主体となってきており、下手に供給力を増やしたら稼働率低下や値崩れやらで命取りとないかねないからだ。
現に、デフレ現象がずっと続いているのも、供給力が過剰でモノが余っているからのこと。 日本全体の消費構造が買い替え需要中心となり、その上に人口もすこしずつ減っていっているのだからどうしようもない。
モノが余り気味で価格は下がるとなれば、企業も縮小経営に走らざるを得ず、賃金やボーナスの低下につながっていく。 それが経済活動全般の縮小、すなわちデフレを招いているわけだ。
この状況を打破するには、個人の消費意欲を高めて新しい需要を創出するしかない。 新しい需要が見えてくれば、多くの企業は放っておいても投資を積極化させる。 つまり、日本経済は元気を取り戻す。
そうはいうものの、よほど革命的な新製品ならともかく、モノに対する需要の伸びはあまり期待できない。 では、どういった需要なら日本に不足していて、これから伸びる余地があるのか?
ここまで考えてくると、話は早くなる。 成熟化した日本経済で決定的に欠けているものといえば、長期投資と生活の質を高める方向での消費である。
どちらも、経済の現場へお金をまわしてやるという意味で、モノへの消費拡大と同じ効果がある。 表現を変えると、成熟経済の活性化に不可欠な経済活動である。
先ず長期投資だが、預貯金を引き出して企業の応援株主になるという行動が、生活防衛と老後設計につながっていく。 つまり、将来不安からの脱却である。
その上に、長期投資の先に広がってくる「ファイナンシャルインデペンデンスの世界」が待っている。 これは、成熟経済を活性化させるもうひとつの要因である、「生活の質を高める消費」に直結する。
いつも書いている、文化・教育・芸術・スポーツ・技術・寄付・NPO・ボランティアなどの分野で、どんどんお金をつかっていく。 そういった分野でお金をつかうことが、雇用の創出につながり、新しい産業を育てていくことになる。
このイメージができてきたら、どんどん行動しよう。 それ以外に、成熟経済を活性化させる方法はないと腹を括って。
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