何を頼りにする?

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 ともすると、毎日の生活があって当たり前で、それ以上は深く考えないで日々を送っている。 まあ、そんなところだろうか?

 平凡に日々を過ごしていけるということが、どれほど幸せなことか。 時折、そのありがたさを静かに味わってみるのも大事なこと。

 ただ、その「あって当たり前」が、いつまでもあってくれるかどうかは別問題。 とんでもない落とし穴が待ち構えていることだってある。

 その最たるものが、預貯金だろう。 そこから得られる利子は年0.02%前後と、お話にならない。 10万円の元本を2倍の20万円にするのに、なんと3600年もかかるのだ。

 政府や日銀が景気を良くしようということで、成長率を高めたり2%インフレを実現したいと躍起になっている。 それはそのまま、預貯金の価値の目減りである。

 2%のインフレということは、0.02%の利子の100倍である。 物価が上昇に転じると、あっという間である。 預貯金の利子が追い付いてくるまでには、相当の時間差が発生する。 ということは、預貯金の目減りが一気に進むのだ。

 こんな単純なことなのに、誰も真剣に対応準備しようとしない。 いつまでもデフレ経済の余韻に浸っていると、突然はしごが外されたような混乱に叩き落とされることになろう。

 それだけではない。 日銀が300兆円を超えて国債を買いまくっている。 異次元の資金供給で経済活動を活発化させようとしているが、なかなか効果が出てこない。

 要注意なのは、このまま日銀が毎年80兆円の買い増しを続けていくことだ。 その分の紙幣を刷りまくっているわけで、いつかどこかで本物のインフレに火がつきかねない。

 それに対する警戒心が、国中どこを見ても感じられない。 そんなことあり得ないというのは、思考停止そのものである。

 すくなくとも、日銀はどんな手を打って大量に買い込んでいる国債を処理するのか、ためしに考えてみるといい。 国債だから満期がくれば、国が買い戻ししてくれる?

 甘い! いまでも既に国債費といって国家予算96兆円のうち、23兆円が計上されているのだ。 新規国債の発行費用と、既発国債の償還ならびに利払い費だ。

 900兆円を超えてきた既発国債の満期償還額は、今後うなぎのぼりで増加していく。 ということは、国債費としての予算計上は30兆円40兆円と急増していくのだ。

 そう考えると、往きは良い良い帰りは恐いで、どんな混乱が待ち構えているのか想像もできない。 国債が暴落するのか、強烈なインフレが襲ってくるのか。

 どちらにしても、預貯金で大丈夫といっている人たちは大変な事態になったと右往左往しよう。 その横で、預貯金の価値はどんどん下がっていく。

 われわれ長期投資家は、そうなった時でも慌てる必要はない。 一時的に株価は暴落しても、すぐ急反発するだろうから、ドタバタせずどっしり構えておけばいい。

 世の中で何が起こっても、皆さんも含め人々の生活はなくなりっこない。 その生活を支える企業活動も消えてなくなりはしない。

 そういった企業を応援しようと株式を買っておくことが、お金の置き場所として一番安全なのだ。 もちろん、インフレにも乗れてしまうから、財産の目減りを心配することもない。

 この辺りのこと、週末にじっくり考えてみてください。