すごい表題となってしまったが、「そういうことなんだ」というところを今日は書いてみよう。 結論から言ってしまえば、長期投資をどんどん広めて日本経済を再生させようということ。
国民一人ひとりが自助自立の意識を高め、長期投資の行動を進めれば進めるほど、成熟経済ニッポンはみるみる活力あるものに様変わりしていく。 そのあたりを、順を追って説明しよう。
第1に、日本の国内総生産 (GDP) の1.7倍にも及ぶ826兆円の個人マネーが預貯金に眠らせたままであるところが、日本経済停滞の最大の要因である。 なにしろ、そこから生み出せれる富は、家計にとって年0.02%前後の利子所得でしかないのだから。
通常の年3%~4%の利子水準であれば、税引き前で24~33兆円の家計収入となる。 ところが、現在は1652億円ほどのお粗末さ。 国の税収でみれば、5~7兆円の源泉税が得られるところなのに、33億円しか入って来ないのだ。
そんな程度の問題では収まらない。 かりに家計が利子所得の半分を消費に回すとすると、10~13兆円が経済の現場に投入されることになり、もうそれだけで日本経済にとって2.0~2.7%の成長要因となるのだ。
第2に、ところが日本は1992年9月から超低金利政策に舵を切ったままである。 むしろ、黒田異次元緩和で金利水準をさらに下げようとしている。
ということは、せっかくの預貯金も日本経済の活性化には全く役に立っていない状態が今後も続くのだ。 まさに、世界最大の宝の持ち腐れである。 それどころか、2%インフレが現実になってくるにつれて、預貯金の価値は毎年2%ずつ減価させられることになる。
第3に、なんの経済効果もないどころか価値の減価が待っているだけの預貯金を、長期投資にシフトさせるとどうなるか? さわかみファンドの例でいくと、この16年間でも年5%ぐらいにはまわっているから、年0.02%の預貯金利子よりはるかに高い家計収入となる。
かりに日本の家計の40%が預貯金の半分でも長期投資にシフトさせると、年5%の投資リターンは8兆円強になる。 日本経済でみると、毎年1.7%分の富が長期投資によって創出されるのだ。
家計の40%としたのは、その所有者である現役層こそ長期投資で自助の道へ入っていくべきだからだ。 預貯金の60%を握る高齢者層は、さしあたって横へ置いてみた。
現役層が長期投資によって自分年金づくりを進めつつ、日本経済に年1.7%分の富をもたらせるのだから、なんの文句もなかろう。
第4に、預貯金に眠る個人マネーが続々と長期投資に向かえば、日本の株価はどっしりとした右肩上がり上昇を5年10年と続けることになる。 下値が岩盤となった株価上昇は、その心理効果と資産効果とで日本経済を強力に拡大成長させていく。
それはそのまま、賃金の上昇と企業の投資拡大につながっていく。 アベノミクスが訴える1億総活躍社会など、放っておいても現実になっていくのだ。
第5に、長期投資は応援しようとする企業をしっかり選ぶ。 その選別作業が株価にも反映されるから、企業経営をして世の中や社会に対する意識を高めさせる、なによりもの動機づけとなる。
企業経営がより生活者目線となっていくほどに、日本経済の持続的な成長のみならず、経済の質もしっとりと落ち着いたものになっていく。 そこに住むのは、われわれ自身であり子供や孫たちである。