ギリシャ問題 vs 長期投資家

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 昨日は朝一から外のミーティングが続いたので、長期投資家日記を書きたいのに書けなくて、歯ぎしりをしていた。 何を書きたいかって?

 われわれ長期投資家は何も慌てることないよ、むしろ企業を応援する買いを考えようと、そう書きたかった。 今日いまから書こうとしているのも同じなんだが、やはり昨日書くのと今日とでは重みが違う。

 テレビや新聞などメディアが騒ぐ横で、「何にも変わらないよ」、「大きく下げたら、しっかり買っておこう」と主張するのが、この長期投資家日記である。 その大事な役割を迅速果敢に果たさなくてはならないのだから。

 ともあれ、昨日の分も一緒に書こう。 ギリシャ問題がここからどう展開していくかは、誰にもわからない。 それでも気になるのが人情で、テレビや新聞などメディアの出番となる。

 彼らは、いま起こっていることをできるだけ正確に報道しようと努めるが、その性分として「これでもか、これでもか」と過大に取り上げる傾向が強い。

 それに輪をかけて、常に過剰反応するのがマーケットである。 それがマネーの本性であり、人間の損得感情がストレートに表面化する。

 そういったメディアとマーケットによる大騒ぎの横で、冷静な読みで静かに行動するのが、われわれ長期投資家である。 今回の大騒ぎでも、株価が大きく売られているのだから、安く買い仕込みをするだけのこと。

 どう冷静に読むのか? たとえ、ギリシャがユーロ圏から離脱するとか最悪の道をたどったところで、拡大ヨーロッパ5億8000万人の生活はもちろんのこと、1000万余のギリシア人の生活だって変ることなく続く。 それを支える企業活動も一時として途絶えることはない。

 まさに、2001年にアルゼンチンが債務不履行(デフォルト)状態に陥ったと、世界中が大騒ぎした時と同じである。 だからといって、人々の生活は何も変わらなかった。

 せいぜい、国内の金融や信用供与が一時的に混乱し、物資の流通が滞ったことで物価の上昇をみたぐらい。 人々は相変わらず分厚いステーキとワインを楽しんでいた。

 結局のところ、なにが起こったかというと、アルゼンチン国債を買っていた海外の金融機関や機関投資家が大損を蒙っただけのこと。 その彼らも、時間をかけて蒙った損失を償却していった。

 今回のギリシャ問題も、多額の支援や融資をしてきた IMF (国際通貨基金)や ECB (ヨーロッパ中央銀行)は巨額の不良債権を抱え込むことになろう。 一部の銀行にも余波が及ぶかもしれない。

 だからといって、ヨーロッパ経済も世界経済も消えてなくなりはしない。 そして、株価だけは大きく下げた。 しっかり安値を拾っておこうということになる。

 もうひとつは、ギリシャ問題を他山の石とせず、日本の財政破たんにも注意を怠るまい。 日本の財政状況はギリシャより悪いのだから。