マルクス、ピケティ、そして長期投資

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 フランスの少壮歴史経済学者ピケティ氏の大著が評判になっている。 歴史的にみて、資産が生み出す富の方が労働すなわち通常の経済活動のそれよりも大きい。

 その結果、資産家と一般労働者との間では経済格差が広がる一途となる。 その傾向が21世紀に入って顕著になっている、まあそんなところだろう。

 経済格差とりわけ富を持てる者と持たざる者との間での所得格差は、近年ますます広がっている。 1980年代後半の日本の土地と株式投機バブルにおいて、さんざん言われた。 それで、企業や多くの国民が持てる者の方に入りたいと願って、バブル投機にのめり込んでいった。

 90年代に入ると、米国や欧州で ”金融の時代バブル” が発生した。 先物やオプション取引、レバレッジ、証券化商品といった手法を駆使して、1のお金を5倍10倍20倍に膨らませた取引が横行した。 金融経済が実物経済の10倍とか20倍とかの規模となっていった。

 日本のバブル崩壊でも、世界の金融バブル崩壊でも、そのしわ寄せは実体経済そして一般生活者に押し付けられた。 金融バブルで荒稼ぎした連中は知らん顔している横で、景気後退や失業率増加で国民の多くが生活水準の低下に追い込まれている。

 バブルの主役を演じたはずの銀行など大手金融機関は大きすぎて潰せないということで、日米欧いずれも財政負担の増加やゼロ金利政策に追い込まれた。 不良債権や国債の無制限買い取りで、中央銀行のバランスシートは4倍から5倍に肥大化しており、その後始末はいずれ大変な難題となっていく。

 この25年間の金融の暴れぶりは、ざっとこんなところだろう。 そこまで極端でなくても、”一部の富める者” に対する  “しわ寄せを食う一般生活者” という図式は、ずっと昔から変わっていない。

 なんのことはない、マルクスの資本論にも書かれていることを、ピケティ氏は改めて論じているといってもいいだろう。 資本家や資産家 vs 労働者や一般生活者、両者の間での所得や生活格差拡大を危惧しているわけだ。

  そこへ、われわれの長期投資をかませてやると、両者が対立する図式はどうなるだろう? 先ず、一般生活者が毎月1万円とかの資金を積み立てていくだけで、誰もが資産家になっていける。 ちょっと時間はかかるが、持たざる階級(?)からは脱出できるわけだ。

 次に、長期投資そのものがバブル投機に対するカウンター勢力である。 すなわち、実体経済の穏やかなる発展拡大に資するべく、企業への応援投資を展開していく。 金融金融で眼の色を変えて、お金を追い回すのではない。 実体経済から一歩も離れずに、富の創出に資金を投入していくわだ。

 ピケティ氏は税金でもって資産家の富を低所得者へ分配すべしという。 それよりも、国民の多くが長期投資でもってプチ資産家になっていく方が、より健全な経済発展につながっていくと考えるが、皆さんどう思いますか?

 週末は自然エネルギーの普及を目指す集まりで山口へ。 皆さん、良い週末を。