経済活動の原点は交換である。 物と物を交換したり、労働の対価として物を得たりするのも交換である。 その間にお金を介在させると、交換がよりスムーズになる。
たとえば、スイカを栽培している農家が冷蔵庫を買おうとする。 その時、冷蔵庫を売る方はその値段に見合うだけのスイカを手にしても、食べ切れず腐らしてしまうだけである。 そう考えると、冷蔵庫を売るのはやめておこうとする。 となると、スイカ農家は冷蔵庫を手に入れられない。
ところが、そこへお金を介在させると話は一気に進む。 スイカ農家は自分が作ったスイカを買ってくれるところへ売って、先ず現金を手にする。 そのお金で、晴れて冷蔵庫を買いに行ける。 もちろん、冷蔵庫を売った人も売却代金の一部を支払って、1個でも2個でも必要なだけのスイカを買えばいい。
このように、物と物あるいは労働と物などの交換に、お金を介在させることで経済活動はスムーズに動くことになる。 同時に、スイカ農家や冷蔵庫を売る人の間に第三者を巻き込むことで、その間をお金が動きまわり経済活動はどんどん横への広がりを見せていく。
さらには、スイカ農家は収穫したスイカをいつまでも抱えていると腐れせて価値を失うだけであるが、旬のうちに売って現金化しておくことで価値を別の形で保存することができる。 価値の保全もお金の果たす重要な役割である。
ここからが大事なところ。 お金は交換価値と保存価値を持っているが、その価値をより有効に活用して大きく儲けてやろうとする動きも誘発してしまう。 ある程度の儲けを上乗せしている間は、ごく自然の経済活動であって何の問題もない。
それが、手元に十分お金があるから慌てて売ることもないといって、売り惜しみをして値上がりを待つ動きが顕著になる。 逆に、こちらはお金を持っていて価値は下がらないが、売り手はタイミングを逃して価値の減価を恐れているのを良いことに買い叩きをする。 こういった投機的な動きも、お金という便利なものがあることで否応なしに高まってしまう。
投機が過剰になると経済活動にブレーキをかけることになる。 すると、投機は放っておいても収まっていく。 しかし、その間に価格の激しい値上がりやモノ不足で、人々の生活を混乱させてしまう。 このあたりになると、お金の持つ悪い側面が強調されかねない。
そこで登場してくるのが、長期投資の考え方である。 いつでも人々の生活をベースにから価値判断し、ひどく安ければ積極的に買っていくし、価格が高騰すればどんどん売り上がっていく。 この繰り返しで長期投資のリターンを確保することになるが、それ以上に経済活動の現場での価格変動をマイルドにする役割を果たすことが重要である。
価格の上下変動は経済活動につきものであるが、極端な乱高下は人々の生活に悪影響を及ぼす。 そこを長期投資家が間に入ることで、より緩やかなものにしていき人々の生活をよりゆったりとしたものにできる。 これも、お金をまわすことである。
皆さん、良い週末を。