参議院選が終わって圧倒的多数を確保した与党サイドの一部から、消費税の引き上げに慎重論が出てきている。 せっかく景気の立ち直りが見えてきたところなのに、わざわざ水をかけることはあるまいという見解だ。 消費税という側面だけからだと、そういった主張にも納得感が高まろう。
しかし、政治家にはもっと大局的に考えてもらいたい。 まず、増える一途の年金負担は国民全体の問題として一般財政から切り離す。 そして、消費税を社会保障税に切り替えて、国民全体で広く薄く負担していく方向を固める。 年金不安を一掃してしまうためにも、この際に思い切って15%ぐらいに引き上げよう。
その時、マイナンバーが大きな力を発揮する。 国民全員の総所得がコンピュータ把握されるから、低所得層に対しては税の還付で生活を保障できる。 社会保障税が大幅に引き上げられても、実質的な負担は所得に応じたものに調整できる。
マイナンバーによって、国民全員の所得や年金あるいは生活保護の受給状況がきちんとコンピュータ把握されていれば、公平公正な社会負担を実現できる。 当然のことながら、貧しい人に酷税といった反対論など出てきようがない。
ともあれ、これで年金不安といったものは二度と語られなくなる。 また、思い切って15%ぐらいに社会保障税を引き上げれば、もはや年金の積み立て制度も運用も必要なくなる。 厚労省はじめ年金事業団など公的年金に関する組織は廃止できるし、予算も大幅に削減できる。
ここで大事なのは、年金のように恒常的に発生する費用を所得税などで賄うのは無理が重なるだけということを国民に周知させること。 法人税にしても個人の所得税にしても、景気次第で税収は大きく変動するから、きわめて不安定な財源である。 だから、年金は社会保障費で国民全体で広く薄く負担する方が、はるかに賢いし安定的でもあるのだ。
一方、年金負担から切り離された一般財政は、純粋に政府の国家運営能力を問うことになる。 景気を回復させればさせるほど税収が増え、財政赤字の解消も国の借金の削減にも光が差し込んでくる。
逆に、利権がらみの予算ばらまきや補助金など不透明な政策は、社会保障費とかの隠れみのがなくなるから、相当にやりにくくなるだろう。 これも財政健全化に大きくプラスする。
これだけの政治をやってしまえば、日本の財政問題は一挙に解決に向かう。 あとは、実行あるのみだ。