財産づくりと長期投資

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 昔から財産づくりの要諦は、”入りを図るよりも、出るを制す” つまり節約が第一といわれている。 無駄な出費を削ぎ落とすことは、別に財産づくりに限らず企業経営全般にもいえること。 もちろん、何もかも節約節約のガチガチでは、生活の潤いもなければ、ビジネス拡大の将来投資もない。

 ここに、長期投資の大事さが浮上してくる。 まったくの無駄にお金を使うことは、文字通りの浪費であって、家財を傾けるだけのこと。 そういった無駄は止めにするとしよう。 だからといってガチガチの節約や、ただお金を抱えるだけなんて、人生においても社会的にも価値はない。

 やはり、お金は天下のまわりものであって、どんどんまわしてやらなければならない。 どうせお金をまわしてやるのなら、自分にとって面白いと思えることとか、意義を感じるお金の使い方をしたいもの。 ついでに、財産づくりができてしまえば最高だろう。 それが、長期投資である。

 具体的には? 世の中や社会が喜んでくれるような、価値のあるお金のまわし方を心掛けることだ。 皆に喜んでもらえれば、どこかでありがとうと言って、まわしてあげたお金が殖えて戻ってくる。 それが、長期投資のリターンである。

 たとえば、不況時には損失回避の動きや将来不安で防御姿勢が高まり、経済の現場からは資金が引き揚げていく。 それでは、経済活動が縮小の道をたどるばかり。 このままではマズイ、なんとかしなければと誰もが思うが、誰も資金を投入しようとしない。

 そんな時に長期投資家が、”どうぞ、このお金を使ってください” と経済の現場に資金を投入してやれば、どれだけありがたいことか。 もちろん、長期投資家は無駄金を使う気はない。 この企業とこの企業には頑張ってもらいたいと、応援先は厳選してその企業の株を買う。

 応援先を厳選しても、経済の現場に資金が供給されることには変わりがない。 供給された資金が経済の中をぐるぐる回り始めることで、経済活動は元気を取り戻していく。

 とりわけ、長期投資家から応援を受けた企業の立ち直りが目覚ましい。 なにしろ、不況時にもかかわらず株価は応援買いが入った分だけ、早々と上昇に転じてくる。 それだけ、その企業の社会的なイメージは際立って当然である。 もちろん、長期投資家の応援買いで、企業の経営者も従業員も勇気づけられる。

 これをリスク資金の供給という。 リスク資金などというと、ちょっと身構えたくなるかもしれない。 要は、皆が逃げたがっている時に、”ここは応援買いしなければ” といって、株を買いに行くだけのこと。 別にどうってことないのだが、経済の現場にとっては貴重な資金供給となる。 つまり、不況時においてはとりわけ価値のある資金投入となるから、それなりの報酬が後からついてくるわけだ。

 景気が良くなったら? もう、放っておいても経済の現場でお金は高回転している。 長期投資家はゆっくりと応援の手を緩めていく。 すこしずつ利益確定の売りを出していくわけだ。 どうせまた、皆が売り逃げに走って、われわれが応援買いを入れなければいけない時が来る。 その時のために、売って得た現金はプールしておくのだ。

 この繰り返しを淡々と続けていけば、財産づくりはどんどん進んで行ってもおかしくない。 なにしろ、安く買っては高く売るを繰り返すわけだから、複利の雪だるま効果で財産づくりが加速していくことになる。