いい展開となってきた

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 米国の株価が史上最高値を更新している。 すすっと上がっては、しばらく調整して、また最高値を更新するという繰り返しを続けているわけだ。 その間に、米国経済の復調を裏付ける経済データが、あちこちで出てくる。 それで、株価はさらに上昇するといった好循環となっている。

 これは、バーナンキ FRB (連邦準備理事会)議長のもくろんだ通りの展開である。 未曽有といわれた資金供給で、とにかく資産効果を生み出してしまおう。 株価が上昇し、土地の価格も底堅くなってくれば、人々や企業の間でリスク回避意識が薄れる。

 なにがなんでものリスク回避で縮こまっていた人々や企業が、株価や地価の上昇で先行きに明るさを覚えるようになると早い。 経済活動のあちこちで前向きの行動に移る動きが徐々に活発化し、それが景気回復につながっていく。

 経済活動に活発な動きがみられるようになってくると、雇用は増えるし企業の業績動向も上向く。 それが更なる株価上昇を誘引し、景気回復のピッチはどんどん上がっていく。 その勢いの高まりを見ながら、ゆっくりと資金の過剰供給を減らしていくという算段である。

 ここまでのところは、バーナンキ議長の思惑通りの展開となってきている。 それは、米国のすべての人々とって文句のない展開でもあり、当分は続くのだろう。

 翻って日本は、政府も日銀もようやくバーナンキ議長にならって資産効果を意識し始めた。 それを、株式市場は諸手を挙げて歓迎している。 結構なことである。 ここは悪乗りしてでも、株価や景気を目いっぱい高めてしまおう。 

 日本の場合は、米国と違って後々の問題が噴出した時の想定もしておく必要がある。 80年代後半のバブルの後始末からずっと続いている、ゾンビ企業や金融機関を救済しようとする諸々の施策が必ず重荷となってくる。

 早い話、米国ではすでに今の段階から出口戦略が語られている。 ある程度の景気回復をみたら、早めにジャブジャブの金融を引き締めようといった動きだ。 日本では、そんなことしたら弱小の企業や金融機関が潰れかねないといった、ゾンビ擁護論が出てきて機動的な政策発動にブレーキをかける。 そう、またぞろ後手を踏むことになろう。

 ともあれ、そこまではまだしばらく時間がある。 とにもかくにも、株価や景気の水準を高めて、のりしろを大きくしておこう。