悩める投資家たち

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 ちょっと面白いことが起こっている。 われわれ長期投資家からみれば、”そんなことで悩まなくてもいいのに” と簡単に受け流すだけなんだがね。

 なにかというと、株価が上昇に転じてきたようだが、”ここで買ってよいものか、様子を見た方がいいのか”で、実に多くの投資家が悩んでいるのだ。 われわれ長期投資家はずいぶん前から応援企業の株を買ってきたから、いま株価が上昇してきても ”よっしゃ、良い流れが始まったぞ” と、ゴキゲン顔で眺めていられる。

 ところが、多くの投資家はずっと続いてきた下げ相場を不安げに見つめていただけで、まったく買っていない。 まだ買っていないのに、株価がどんどん上昇し始めている。 それで、慌てているわけだ。

 彼らの多くが、相場を追いかけては株価上昇の波に乗ろうとするタイプの投資家である。 目先張りというか、短期で利ザヤを抜こうとするタイプで、日本の投資のほとんどがこの範疇にある。

 そういった短期投資家は長い下げ相場からの戻り局面では、いつでも出遅れてしまう。 まだまだ下がるだろうとか、まだ相場の地合いは弱いといっている間に、株価がするすると上がってくると彼らは判断に混乱をきたす。 上に書いたように、ここで買っていいものか、ちょっと様子を見た方がいいのかで悩むわけだ。

 彼らにしてみれば、株価がこのまま上昇トレンドをたどってくれるのなら、すぐにでも買い参加したい。 そう思っている間に、この3日ほど株価全般が調整売りを浴びて下がった。 それを見ると、やっぱりここで買うのはどうかなと躊躇してしまう。 そしてそのまま相場動向を見つめている間に、再び株価が上昇に転じてくると、また焦りだすことになる。

 もっと苦しい立場にあるのが、機関投資家の運用者たちだ。 眼の前に3月末決算が控えている。 このままするすると株価が上がっていってくれるのなら、1か月間ぐらいの勝負をしたい。 しかし、相場がもたついてくれたら決算が大変となる。 買おうか買うまいかで悩んでいる間に、このまま株価全般が上昇トレンドを続けると、完全に出遅れてしまう。

 面倒なことに、機関投資家のほとんどが日本株投資のポジションを下げ続けてきたから、今回の相場上昇の味を堪能できる状況にない。 かといって、決算前で勝負というのも決心がつかない。 さあ、どうしようで悩みは深まるばかり。

 長期投資の観点からは、全体方向は上だから適当に買っておけばいいのにで、なんの悩みもない。 ところが、短期志向の投資家にしてみれば、目先の株価動向が気になって、さっさと動けない。 出遅れて出遅れてを重ねて、最後の最後に高値つかみをしに行くのだろう。

 

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