あと2%ちょっと

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 昨日の夕会で話したのだが、米国株市場はいつの間にか史上最高値に向けて、あと2.8%の水準まで上昇してきている。 昨晩の NY 市場はさらに続伸したから、その差はまた縮まっているわけだ。

 米国株の史上最高値は2007年の10月に記録された。 その後、サブプライムローン問題やリーマンショックなどで米国経済が失速状態となり、株価も大きく落ち込んだ。 ユーロ危機やら住宅不況やらで、投資家全般にリスク回避志向が高まり、最も安全とされる米国債に資金が集中した。 10年もの長期債の利回りが史上最低の1.3%台にまで下がった。

 いまでも米国債の10年もの利回りは1.8%台をうろうろしている。 通常なら5%近い水準にあるはずのものが、1.8%台とは恐れ入る。 それだけ投資家の間で、まだまだリスク回避志向が高いのだ。

 もうひとつは、米国の中央銀行にあたる FRB が政策金利をゼロに近い状態にまで持っていっているのと、異常なまでに大量の資金供給をしているのも大きい。 政策金利がゼロに近い水準にあるのなら、長期債利回りが1.8%でもそれなりの利差が稼げるというわけだ。

 そんな中、株価がじりじりと上値追いしてきているのは興味深い。 投資環境全般はまだ債券を選好する傾向が強いのに、株価はいつの間にか史上最高値を眼前にとらえるところまで来ているのだ。

 昔から株価は景気や企業収益の先行指標といわれている。 おそらく今回も、米国の景気回復を示唆する先行指標性を発揮しているのだろう。

 見過ごしてならないのは、米国の超低金利政策は大量の資金供給と相まって、必ず経済の現場で効いてくることだ。 企業活動が高まったり、新しい産業が生まれたりと、経済の拡大再生産につながっていく。 それが、家計を潤し消費意欲を高める好循環となっていく。 その展開を見越して、早くも株価が上昇に転じてきているのだ。

 日本の場合は、超低金利政策は家計を直撃して、消費意欲を減退させるだけとなる。 なにしろ、日本の家計は預貯金に国内総生産 (GDP) の1.7倍もの資金を寝かせてあるのだ。 通常なら3%から4%ぐらいの金利だから、23兆円から31兆円の利子収入が得られるはず。 ところが、いまなら0.02%前後の金利で、1580億円しか得られない。 これでは消費が高まりようがない。

 それどころか、1515兆円の個人金融資産や、790兆円の預貯金マネーは国の野放図な国債発行を支える強力な援軍となっている。 個人マネーが経済の現場に回っていくよりも、国債発行の受け皿になっていくだけといった図式では、健全なる民間ビジネス拡大は期待できそうにない。

 この現実に対し、われわれ一般生活者は自分たちの預貯金を一部でも長期投資にまわすことで、米国と同じような状況を作り出すことができる。 預貯金マネーを長期の株式投資にまわせば、株価の上昇を誘引し経済活動の活発化につなげていくことができるし、積極的な財産づくりにもなる。 年金の将来に不安を感じるのなら、長期投資で自分年金づくりを進めるべしであろう。

 

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