赤字国債法案

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 毎年の好例のようになっているのが、この時期の赤字国債法案の国会承認である。 もう既に国は法律で定めた限度額まで国債を発行してしまっている。 それでも予算執行の財源が不足するから、毎年の行事のように赤字国債の追加発行という臨時処置法を、国会で承認を受けようとしているわけだ。

 赤字国債の追加発行が認めなければ、予算不足で行政サービスがストップしてしまう。 国民の生活や経済社会の運営に支障をきたしてはまずいということで、国会承認はなんとしても通さなければと政府与党は躍起となる。 野党は政治駆け引きに利用しながらも、予算執行ができなくなったときの責任追及は避けたいから、最終的には赤字国債の発行法案が国会承認を受ける。

 この儀式を繰り返しているうちに、国の借金はうなぎ登りに増え続けて、そろそろ1000兆円を突破しようとしている。 いっておくけど、毎年の予算編成で40兆円を超す国債発行が定められている。 それでも、まだ足らないのだ。

 どこか狂っていると思えないか? 一番の問題は、国家予算の肥大化である。 1992年から昨年までの19年間で、年平均にして19兆6000億円の景気対策予算を投入してきたのに、まったく効果を上げていない。

 巨額の予算を投入し続けているのに、ずっと経済活動がもたついているため、税収がさっぱり伸びない。 税収が不足すれば、国債発行で賄うしかない。 この悪循環を延々と続けているわけだ。

 全部が全部とはいわないが、無駄な予算バラマキばかりで、死に金の山を築いてきたことになる。 さっぱり効果が現れないのなら、政策の方向と方法を変えるべきだろう。

 よく、国の予算を牛耳っている財務省は景気回復など念頭になく、税収を増やして財政均衡しか考えていないといわれる。 それなのに、これだけ財政赤字が拡大している現実は重い。 財務省も意識変革が求められよう。

 要は、日本経済を成長させることだ。 それには、成熟経済に合った政策に一刻も早く切り替えることだ。 経済センスのない政治家や官僚に予算バラマキ事業をやらせたところで、税金の無駄遣いをするばかり。 規制緩和と減税で民間の事業意欲を高めさせることが、一番の政策である。 個人にも企業にも資本の蓄積が進んでいるから、それを活用しない手はない。

 これだけ財政が悪化しており、国の借金も膨れ上がっているから、減税の余地はないのでは? それが、財務省的な縮小均衡の発想である。 経済は生きものだから、動いてみようという気にさせることが第一優先である。 それには規制緩和と減税で、民間をその気にさせるのが一番である。 なに、無駄な予算を投入し続ける代わりに、大幅減税するだけのことよ。

 どうして、こんな簡単なことが出来ないのだろう?

 

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