日本が世界で堂々と生きていくために、やることはいろいろあるが、先ずは経済力を高めることだ。 世の中すべて、お金で解決できるといった単純な考えではない。 確固とした経済力を背景にして、世界での政治や外交で有利な条件を勝ち得ていくことは、国益に直結する。
経済力も絶対的な経済パワーと、相対的なものとがある。 かつての高度成長期とまではいかなくとも、4%ぐらいの成長率を軽々と達成して、国力を充実させておくことが絶対的な経済力である。 日本のような経済大国が毎年4%前後の成長を続けているということは、世界のパワーポリティクスの舞台でも、ずっしりとした重みのある存在感を示せる。
相対的な経済力とは、相手方が経済的に苦しい状況に陥っている時など、いろいろなバーゲニングパワーを発揮できることをいう。 いまなら、ユーロ圏の苦しみに対し、あるいは世界景気のスローダウンに巻き込まれている新興国や途上国に対して、日本経済がもっと元気なら、さまざまなお手伝いができるはず。
あるいは、次の10年ぐらいの間でみると、中国がおそらく日本以上に急速な高齢化問題を抱えた社会に突入する。 80年代初めからの一人っ子政策の影響がもろに表面化するわけで、まだ豊かになりきっていない中国では、さまざまな経済社会問題の発生が懸念される。 なにしろ、国民一人当たりの経済水準は日本の10分の1なんだから。
中国の驚異的な高度成長も海外からの投資に支えられてきた面が強い。 どこかで、海外資本が引き上げを始めたら、それだけでも中国経済は大きく落ち込むことになる。 世界最大の外貨準備など、あっという間に食い潰してしまう。 そんなときに、日本経済に活力が戻っていたら、中国にいろいろなお手伝いができる。 そこで領土問題をゆっくり話し合えばよいのだ。
その日本経済なんだが、ダメだダメだという人が多すぎる。 きちんとみてみれば、バラ色の夢を追いかけていた21年前までと、ジリ貧に喘ぎ続けて自信を失った現在とを比べてみても、いわゆるファンダメンタルズ(経済の基礎的な実力)は、ほとんど落ちていない。 ひとえに、日本の潜在的な成長エネルギーを引き出しきれない政治のダラシナサによって、こうも無惨で無気力な低迷を続けるわけだ。
それと、われわれ国民にも責任がある。 日本経済の1.7倍もの規模を誇る預貯金残高を抱えたまま、ユデガエル状態に浸っているのだから、これはどうにもならない。 預貯金の5%でも10%でも経済の現場に放り込んでやるだけで、経済活動はたちまち元気一杯になるというのに。 長期投資にまわしてもいい。 要は、われわれ国民一人ひとりが自助自立の精神で行動するかどうかだ。
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