景気対策予算どこへ消えた?

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 知ってますか? バブル崩壊後、日本は1992年9月の総合経済対策予算10兆7400億円を皮切りに、2011年10月まで都合21回にわたり、合計で約373兆円もの景気浮揚予算を投入してきた。 年平均にして、19兆6000億円だ。

 その間の国内総生産 (GDP) はおよそ485兆円だったから、そこへ19兆6000億円も投入されたのだ。 毎年4%を超す成長促進効果が発揮されていておかしくなかった。 ところが、日本経済はずっとジリ貧を続けた。

 毎年の19兆6000億円が、まったくの無駄となって消えていったわけだ。 否、373兆円もの予算投入に見合う借金だけはしっかり残った。 おかしいと思えないか? 真夏の夜の夢ではないが、毎年4%を超す成長があってもよかったのに、ただ国の借金だけが膨れ上がったのだ。

 はっきりしているのは、19兆6000億円のほとんどが経済活性化にはつながらない方向、つまり後ろ向きに使われたからだ。 いってみれば、死に金となっただけだ。 死に金という表現が悪ければ、砂に水をまいたようなものとでも言っておこう。 なんの意味もない無駄金となってしまったのだ。

 どういうことか? バブル崩壊を受けて、多くの金融機関や企業が巨額の資産評価減に見舞われた。 このままでは潰れる、そうなると大量失業が発生する、それはまずいということで、バブルに踊り狂った銀行や企業を救済することを最優先した。

 ひん死の重傷を負って大変だと大騒ぎしているところを救済しても、彼らが生き残るだけでのこと。 経済の拡大再生産効果は、せいぜい彼らが元気になってから、ようやく期待できるぐらい。 それでは、ただ時間と資金を浪費するだけである。

 同じお金をつかうのなら、どうしていますぐにでも動ける人達を、前向きに走らせようとしないのか? いま元気一杯の人達がどんどん前向きに走り出せば、景気はいくらでも良くなるし雇用も増加する。 そこへ、19兆6000億円の大半を新エネルギーの開発と普及の促進や、環境の整備などにに投入していたら、今頃とんでもない巨大産業に育っていたはず。 なんとも、もったいないことをしていた。

 後ろ向きの資金投入と同類項に扱っても構わないのが、利権や既得権擁護の予算バラ撒きだろう。 その人達を食わすだけで、前向きの経済効果は何も期待できない。 税金の無駄遣いという以外の何があるのだろう?

 

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