とにかく成長だ

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 よく成長至上主義は環境悪化や使い捨て文化を醸成し、人々の心を荒んだものにしたり、意識や道徳心の退廃を招くと批判される。 それも考えてみたら、生活ひいては経済に余裕があるからこその批判ではなかろうか。

 早い話、これだけ長期間にわたって経済のジリ貧が続くと、もはや成長至上主義が良い悪いどころではない。 現に、雇用不安や所得の減少傾向で、もったいない意識が高まっている。

 むしろ、ひと昔前までよく言われた ”恒産なくして、恒心なし” の重みが、ずっしり感じられる。 たとえば、将来不安や年金不安に駆り立てられるかのように、人々の気持ちに余裕がなくなってきている。 なんとか自分だけでも安全圏に滑り込みたいとばかり、懸命にもがいている人の多いこと。

 やみくもな成長論の前に、年4%ぐらいの成長は絶対に必要だと、しっかり認識しよう。 少子高齢化が進んでいるから、年金や医療あるいは介護などの社会福祉負担は高まるばかり。 その負担をジリ貧が続く経済で賄おうとすると、財政赤字がどんどん悪化したり国の借金がさらに膨らんだりの、しわ寄せが出てくる。 それらは、結局のところ国民の負担となってつけが回ってくる。

 それが、4%成長の下では国民の所得が増えたり、国の税収が高まったりで社会福祉関連の負担は簡単に吸収できる。 それどころか、老朽化が進む道路や橋そしてトンネルなどの社会インフラの整備も積極的に進められる。 そういったインフラ投資は大きな災害に遭遇する前にやっておくことで、将来の被害を事前に抑えられるし修復負担も軽減できる。 もちろん、いくらでも雇用を創出できる。

 どうすれば4%成長を実現できるのか? 簡単なこと。 預貯金に眠らせている個人マネー771兆円のたった5%を消費や長期投資に向かわせるだけでよい。 それだけで、単純計算では8.2%のプラスだが、預貯金から5%分の資金が流出するマイナスを差し引く必要があるから、ネットで4%から5%ぐらいの景気上乗せ効果が期待できる。

 預貯金の60%は60歳以上の高齢者が持っている? 構わない、高齢者は静かにして置いてあげよう。 行動すべきは、現役層の人たちである。 日本経済を元気にさせ雇用を拡大させるにも、自分達で4%成長をつくっていくのだ。 現役層の預貯金が40%を占めるのなら、そこから5%分だけでも自分達の将来に向けて、お金に働いてもらうのだ。