昨日のブログにつながるが、自分としては年金の運用には手を出したくない。
その理由は、この20年ちょっとの間に年金運用がやたらと短期志向になってきたことがある。
こちらが世に広めようと頑張っている本格的な長期投資とは、
まったく相容れぬ運用を迫られるのだから、ごめんなさいとなるのは仕方ない。
昔は、といっても自分が運用ビジネスに入った1970年代前半のことだが、
年金の運用は10年20年の視野で運用蓄積の最大化を狙うのが当たり前だった。
年金積み立て者の将来給付額をできるだけ分厚くしておこうというのが、そもそもの年金運用なのだから。
ところが、70年代半ば頃からの世界的な年金運用の本格化で、状況は一変した。
年金は一般生活者にとって大事な資金だから、
しっかり運用成績を積み上げていかなけらばならない。
そのためには、毎年の成績をきちんと精査して、
より実績の高い運用者により多くの資金を委託すべきだとなってきた。
そうなれば、どの運用者も毎年毎年の成績に追いまくられることになり、
とてもじゃないが長期運用なんてやっておれなくなる。
ビジネスとしての成功だけを考えれば、年金運用というのは美味しい商売である。
ある程度の成績をあげておけば、毎年毎年運用資金を増加してもらえるのだ。
かりにマイナスの成績となっても、平均株価をちょっとでも上回っていれば文句は言われない。
とにかく、業界水準をすこしでも上まっておくことが、年金運用ビジネスでは最優先される。
こちらとしては、
そんな運用姿勢で本当に一般生活者の将来や老後のための長期投資ができるのか、大いに疑問である。
短期の成績に追いまくられるのは絶対におかしい、
だったら年金運用なんてやめておこうということになってしまった。
もちろん、本当に年金の将来を考えている基金があって、
10年ぐらいの時間軸で本格的な長期投資をやってくれと言ってくれるのなら、いくらでもお手伝いさせてもらう。
まあ、それだけ腹の据わった理事さん達がいたらの話だが。
明日水曜日20時は、恒例のインベスターズTV生放送。
さて、何を話そうか?
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