先週の続きとなるが、
日本の農林水産業はとんでもない成長可能性を持っている。
なにしろ、世界人口は毎年1億人前後ずつ増えていっており、
水や食料の需要は今後どれほど高まるのか想像を絶するものがある。
単に人口増加による需要拡大だけではない。
世界中の人々がどんどん豊かになっていっており、
肉や魚を食べたい需要も加速的に高まっていく。
家畜や魚の養殖では、
人間が口にする穀物の3倍から8倍くらいの飼料が必要といわれる。
それだけの穀物増産に必要な農地や水は、
地球上のどこで手当てすれば良いのか大きな問題となっていく。
そうなってくると、世界的な供給力不足問題が必ず顕在化してきて、
価格は上昇傾向となるのは避けられない。
今でこそ、
日本の農作物や林業は国際的な価格競争力がないというのが定番になっているが、
そのうち国際価格そのものが高くなっていく。
そうなれば、日本の農林水産業はいくらでも食っていけるようになる。
ちょっと考えれば、このくらいは誰だって考えられることである。
となれば、
今やらなければならなのは将来の輸出産業として農林水産業を育成する方向で、
官民が力を合わせて抜本的な手を打つことであろう。
農業の生産性向上はもうあちこちで言われているから、
残るは如何に早く強力な政策を断行するかだけである。
ここでは林業に触れてみよう。
日本は急峻な山々に囲まれているから、林業の機械化は困難といわれる。
いくら急峻な山々といっても、木材を伐採し搬出するのを、
従来の縦方向でやろうとするからコスト高となるだけのこと。
横方向で広域林道を整備して、
緩やかな坂道を機械が登っていけるようにしてやれば生産性はいくらでも上がる。
国有林はもちろんのこと、
民有林に関しても、
山の持ち主をも巻き込んで日本の林業近代化と国際競争力強化を図るべき時である。
早ければ早いほどいい。
農林水産業の抜本的強化は、
食糧確保や水の保全のみならず、雇用創出にもなる。
よく建設業従事者は、
現在の700万人から500万人以下に減らす必要があるといわれるが、
その方たちはもちろんのこともっと多くの人々にたっぷり仕事をしてもらえる。
豊かな農林水産業をベースとして美しい国土を守り、
人が生きていく基本である食料や水に恵まれて生活できる、
しかも雇用はどんどん創出されるとなれば、最高ではないか。