株式市場をはじめ相場というものは、期待でやたら膨れ上がったり、急にしぼんだりする。
投資運用では、そういった相場が膨らんだり萎んだりするのを、早めにとらえていくリズム感が大事である。
そう、適度なタイミングで買っては売ってのリズムを守り、着実に利益確定していくのが鉄則である。
ところが、世界は40年越しの年金買いが続き、史上空前の金融緩和政策がこれでもかこれでもかと深掘りされてきた。
それによって、かつて歴史に例をみない長期間での、壮大なカネ余り上昇相場が続いた。
多くの投資家は機関投資家を含め、40年越しの上昇相場が、もう当たり前といった受け取り方をしている。
それはそうだろう。 ずっと株価や債券価格が上昇基調を続けてきて、その渦中でみな育ってきたのだから。
その間に、ブラックマンデーやリーマンショックといった暴落局面もあったが、どれもこれも克服してきた。
笑ってしまうのは、リーマンショック時に100年に一度の危機と大騒ぎした。
それほどまでに、世界の投資家たちやメディアは大きなマーケット下落を経験していない証左の大騒ぎであった。
当時、売るに売れない証券化商品を世界中の銀行や機関投資家が大量に抱え込んで、身動き取れなくなった。
あの時の反省と学びが、まるでない。 現に、リーマンショックなどなかったかのような金融商品の跋扈となっている。
いま、当時の証券化商品をはるかに上回る規模で新手の金融商品が開発され、多くの金融機関や投資家が保有している。
それらを保有するをもって、上昇相場に乗っかり続けることが投資ということになっているのだ。
通常の投資運用では、買ったものをどこかで売って現金化し、着実に利益確定をするもの。
ところが、40年越しの上昇相場で利益確定など、まるで眼中にないような展開となっている。
年金などの機関投資家はじめ世界の金融機関は、様々なヘッジ手法でもって、みな上昇相場に乗っかったままでいる。
そういった上昇相場は今後も続いて当たり前とする投資姿勢が、世界の金融マーケットの太宗をなしている。
ここで、冒頭の相場というものに戻るが、買い人気なんていつ剥がれるか知れたものではない。
また、空前のカネ余りも、大きな下落があれば、その分の資産価値が蒸発し、世界のカネは一気に締まる。
われわれ本格派の長期投資家からすると、様々な期待とカネ余りで膨れ上がった相場には、いつ下がっても構わない。
そういった投資スタンスを守るけどね。