いま多くの投資家は、さぞかし悩ましいところだろう。 8月にドスーンと下がって、ここへきてまた怪しくなっている。
もっとも、はじめからマネーゲームと割り切っているバクチ投資家は、そんな悩みなどない。
彼らはマーケットでの価格変動にぶつかっていって、儲けたり損したりを投資としているのだから。
その点、資産づくりを目的に投資の世界に踏み込んできた人達にとっては、マーケットの荒れ模様にはついていけない。
とりわけ、1月からはじまった新NISA制度に煽られて投資をはじめた人たちにとって、ここでの下げは辛い。
当初は良いスタートが切れたとご機嫌だった投資家たちの、かなりがマイナスを抱え込んできている。
たしかに、まだ当分の間は「長期の投資だから、ここでの下げは気にしない」といっていられるだろう。
とはいえ、われわれ本格派の長期投資家と違って、「そのうち上がるわい」で、どっしりと構えてはいられない。
時間の経過とともに、徐々に不安感が高まってきて、「大丈夫かな、このまま投資を続けて?」で、悶々としだす。
そういった不安を吹き飛ばしてくれるほどのマーケット上昇が舞い戻ってくれれば、ありがたい。
ところが、9月10月11月と下げ模様が続いてくれるや、浮足立ちとなる投資家は加速的に増えだす。
このあたりが、日本で一般的な「まがい物の投資教育の限界」といっていいところである。
そう、マネーゲームの投資をやっていくのか、資産づくりを目指しての投資なのかを、ごっちゃにしてはいけない。
マネーゲームなら、儲かった損したのハラハラドッキリを楽しめばいい。 株式市場は最高の舞台を提供してくれる。
一方、資産づくりを目指して投資するのなら、マーケットとはつかず離れずの立ち位置を守るのが大原則である。
そして長期的に投資価値が高まるであろう企業の株価が大きく売られたときに、しっかりと買い仕込む。
買った後は、その企業に対する投資家人気が高まってきて株価が大きく上がるのを、のんびり待つだけだ。
そういった投資を指導するのが、本当の投資教育というものである。
ところが、現実は証券上がりの金融マン達が、マーケットを追いかけて、いかに儲けるかを指導してくれている。
その最たるものが、1月からの新NISA制度で投資をはじめようの大キャンペーンだろう。
マーケットの値上がりを追いかけて、その流れに乗るをもって投資としている人達による、お祭り騒ぎといえる。
資産づくりを目指しての本当の投資なら、いよいよこれからの大きな下げを待って、おもむろに始めることだ。