ゼロ金利時代の終焉

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米国はじめ世界の金融マーケットは、いよいよ揺れが大きくなりだしたようだ。

リーマンショックからの、15年に及ぶゼロ金利だが、金融や経済の現場あちこちで軋みが目立ってきた。

軋み? 先ずは第1に、世界的なインフレ圧力の台頭で、各国は政策金利の引き上げを余儀なくされている。

現に、米国では短期金利が5.25%にまで、EUでは4%を大きく上回る水準にまで上昇してきている。

長期金利も米国の10年物国債の利回りが4.7%と、16年ぶりの高さをつけてきた。

金利水準の大幅上昇は、金融取引をはじめ経済活動のあらゆる分野で、既存契約などの見直しなどを迫る。

ゼロ金利時代の低利回りでは、お話にならないということで、より高利回りものへの乗り換え売りが出だすのは当然のこと。

そういった動きが、世界の債券市場で警戒感を高め、もういつどこで売りの連鎖がはじまってもおかしくない。

第2に、この15年間、先進国中心にマネーをこれでかこれでもかと供給して、金融緩和をどんどん深掘りしてきた。

いまや、金融が主役となった世界経済だが、一部の高所得層への富の集中と、大多数国民の低所得化が進んだ。

そこへ襲ってきたのが、40年ぶりの世界インフレで、低所得層を中心に賃上げ圧力は根深いものとなっている。

それが、コスト・プッシュインフレの一大要因となってきており、金利は高止まりせざるを得なくさせている。

ということは、かりに景気が悪化しても利下げはできず、スタグフレーションが現実味を帯びてくる。

第3に、金利コスト上昇による企業収益への圧迫は、いよいよこれから顕著となっていく。

これまでカネ余りによる楽観論が強かった世界の株式市場だが、業績圧迫は大きなマイナス材料となる。

どこかで、先進国中心に株価全般は大きく崩れだそう。 そこへ、債券市場の下落が重なることになる。

世界の金融マーケットはじめ経済全般に大騒ぎとなろうが、各国政府も中央銀行も打つ手は限られている。

どこも、巨額の政府債務を抱えており、中央銀行の財務も異常に膨らんだままで、インフレに直面しているのだ。

おそらく、世界経済はリーマンショック時をはるかに上回る大混乱に陥ろう。

これらのどれも、われわれ本格派の長期投資家は、ずいぶんと早い段階から読み込んできたこと。

したがって、なにも大騒ぎすることはない。 むしろ、頃合いを見て大バーゲンハンティングに出る機会待ちだ。

同時に、金利のある経済への回帰がもたらす、新しい世界の経済秩序を先取りするのだ。