以前にも書いたが、資産運用立国を唱えるのも、来年からの新NISAも、タイミングが悪すぎる。
空前のカネ余り上昇相場の最終局面で、これから投資をはじめましょうは、あまりにも危険である。
実際、今週に入って、米国株市場も日本株市場も派手に下げている。
米国の長期金利が4.7%をつけてきたように、債券市場も売られている。
大きく下げてくれたから、これから投資をはじめる人にとっては、ちょうど良い買いタイミングといえるか?
それは、甘い。 ちょっとぐらい下げたからといって、まだまだバーゲンハンティングには、ほど遠い。
もっとも、この15年間の金融緩和バブルに踊ってきた人達からすると、絶好の買い場と映るかもしれない。
彼らはゼロ金利と、これでもかこれでもかの資金供給で膨れ上がったバブル相場で、この世の春を謳歌してきた。
そんな彼らにとっては、ここまでの壮大な上昇相場が、そう簡単には崩れるはずがないとなろう。
一方、われわれ本格派の長期投資家からすると、この15年間に積み上がってきた買い残高の重さは軽視できない。
ちなみに、世界の総債務残高は世界GDPの3.5倍に膨れ上がっている。 10年前は、2.5倍だった。
ゼロ金利をいいことに、各国政府も企業も個人も借り入れを、凄まじく大きく膨らませてきたわけだ。
その債務残高に対し、いまや金利上昇という重しが、のしかかってきているのだ。
米国でいうと、短期金利は5.25%幅も引き上げられた。 その重みが、ずっしりと効いてきている。
そう、あらゆる債務者にとって、満期が到来した資金の借り換え時には大幅に上昇した金利負担を迫られるわけだ。
あるいは、企業経営においてもゼロに近かった金利コストが、いまや5%台に跳ね上がってきている。
これらのどれもが、低利回り債券の売りや、業績悪化企業の株式売りを誘発する。
そういった売りが出始めると、これまで積み上がった買い残の重みが連鎖売りを誘う展開となっていく。
債券市場にしても株式市場にしても、売りが顕著になってくると、どの投資家も損失回避の売りに走りだす。
もうそうなると、売りのラッシュは止まらなくなって、マーケットは総崩れの修羅場と化す。
そこから先だ、われわれ本格派の長期投資家が大バーゲンハンティングに打って出るのは。
これから投資をはじめる人たちも、新NISAを活用する人たちも、我々と一緒の行動をしてもらえるといいのだが。