国を挙げての貯畜から投資への流れが続いている。 だが、難しい局面に遭遇している。
第1に、世界的な金融緩和政策に乗ってきた債券や株式市場の上昇トレンドに翳りが出てきていることだ。
米国の債券市場でいうと、昨年は18%の下落を投資家は蒙ったとのこと。
株式市場も、この2年ほどというもの、新高値を追う勢いはなくなっている。
こういった投資環境になってくると、個人投資家も機関投資家も打つ手なしの状況に追いやられる。
なにしろ、彼らの多くがマーケット動向に、どう対応していくかをもって投資としているのだから。
彼らはマーケット動向に上昇の勢いがなくなってきたり、陰りが見えてきたりすると、たちまち立ち往生となる。
そして、ひたすら次の上昇相場の兆しが出てきてくれるのを待つだけとなる。
となると、投資はじめての人たちにとっては、なにから手を付けていいのか誰も教えてくれないから大変である。
第2に、世界的なインフレ圧力と金利上昇によって、金融緩和バブルが崩れだしていることだ。
ここから先、債券はもちろん株式投資にとっても、マイナス材料がどんどん出てくる。
金利上昇は、そのまま債券売りにつながり、どの債券投資家も大きな損失は免れない。
また企業にとってはコスト上昇要因となり、業績低迷が株価の下落を誘うことになる。
あるいは、金利上昇に耐えられない企業の倒産もあって、債券のデフォルト(債務不履行)リスクも高まる。
第3に、現在進行中のインフレはコストプッシュ型の要因が強く、まだまだ続く可能性が高い。
そして、たとえインフレ上昇率が鈍化してきても、そこまでの上昇幅は今後ずっと続くのだ。
つまり、物価などの価格水準が大幅に上がった状態が定着することになる。
大きく跳ね上がった価格水準が、経済はもちろん人々の生活全般に織り込まれるまでは、景気の足を引っ張る。
これらを考慮すると、新しく投資をはじめる人たちにとっては、なんとも難しい時期でのスタートとなる。
このあたり、われわれ本格派の長期投資家にとっては、別にどうってことない問題である。
そもそもからして、われわれはマーケット動向とはつかず離れずのスタンスを守る。
その上で、将来価値の高まりを期待できる投資対象を、マーケットで大きく売り込まれている時に買い仕込む。
したがって、現在のようにマーケットが膠着状態にある間は、将来価値の読み込みに全力を挙げる。
そして、どこかでマーケットの暴落あらば、待ってましたと買い出動する。
実に楽のものである。 こういった本格派の長期投資を、多くの人たちに学んでもらいたいものだ。