東証、1800社に改善策を要請

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東京証券取引所は、株価純資産倍率(PBR) が1倍以下の企業1800社に、株価水準の引き上げ策を開示するよう求めすとのこと。

なんでまた、そんなことを要請するのだろう? まったくをもって理解に苦しむ。

そもそも、ある企業の株価が解散価値を下回っている状態を、PBR 1倍以下という。

つまり、株価が低すぎるというわけだ。 すなわち、投資家の評価が低いということだ。

だから東証は、投資家の評価が高まるような施策とその情報開示を、各企業に求めるという。

余分なお世話である。 もちろん、どの企業にとっても株価が高いのは喜ばしいこと。

とはいえ、買う買わないは投資家の勝手である。 東証が口だすことではない。

では、なぜ投資家は解散価値以下の株価でも買おうとしないのか?

それも、全上場会社の半分近い企業が、解散価値以下の株価で売買されているのだ。

いくつか理由を挙げられる。 第1は、現水準の株価を超えて買い上がるだけの魅力がないからだ。

近年、ROE 経営とかいって、やみくもに純資産倍率を高くすれば良しとする風潮が大手を振っている。

ROE値を高くするには、利益を高めることか、自社株買いなどで純資産額を圧縮するかだ。

利益をどんどん高めてくれている企業の株価は、それを評価した投資家の買いが集まってくる。

それもあって、そういった企業の株価はPBR 1倍を超えて売買されている。

一方、自社株買いなどで純資産額を圧縮した企業は、一時的な株価上昇要因とはなるが持続性はない。

つまり、財務戦略に頼ったROE重視の経営だけでは、さほど成長力を感じられない。

それで、株価がいかに純資産倍率を下回っていようと、投資家にはそれほどの魅力と映らないわけだ。

第2に、日本の投資家は株価が上がりだしてから慌てて動き出す、株価追いかけ型が大半である。

それもあって、いかにPBR が1倍以下でも、安い間に買っておこうといった投資行動には移らない。

もっとも、80年代までのような大手証券によるテーマ営業を大々的に繰り広げれば話は別である。

そう、PBR 1倍以下の株式を皆で買おうといったキャンペーンを、誰かが強力に展開するのだ。

そしたら、株価追いかけ型の投資家、個人も機関投資家も目の色を変えて買ってくる。

問題は、一体どこの誰が「PBR 1倍以下の株を買おう大キャンペーン」を張ってくれるかだ。

言い出しっぺの東証がやるか、はたまた日銀の出番か?

どちらにしても、マーケットでの価格形成に国など公がやたらと介入したがる、日本の悪しき慣行である。