NY株式市場をみていると、まだまだ悪あがきしたいんだなと、思わず笑ってしまう。
米FRBによる政策金利の引き上げ、6月からはじまる金融の量的引き締め、どちらもバブル高にはマイナス材料である。
現に、5月の後半では株価全般が大きく下げる展開が頻発した。
それにもかかわらず、売りが収まった間隙をついては株価の反発高が繰り返されている。
投資家の間では、まだまだカネ余りバブルの余熱が続いているのだろう。 その悪あがきだ。
悪あがき? そう、金融マーケット全般そして世界経済の方向は、インフレ退治に向かっている。
インフレは実体経済そのものであって、80年代から延々と続いている金融緩和によるバブルとは、水と油だ。
水と油は相容れない関係で、融合なんてあり得ない。 どちらかの力が勝って決着がつく。
となれば、インフレをともなった実体経済の方が、中身のないバブル膨れより強いに決まっている。
実際、金利上昇や金融の量的引き締めによる圧力は、バブル膨れしてきた金融マーケットや経済にとってはマイナスとなる。
したがって、ここからの買いはなしだ。 よほど投資対象を絞り込んだもの以外は、どんどん売っていきたい。
われわれ長期投資家からすると、もうすでにカネ余りバブルからは遠く離れている。
上に書いたことなどは、もう聞き飽きている。 そして、大バーゲンハンティングの時を待っているはず。
ところが、世界中の投資家からすると、まだまだバブル高にしがみついたままでいる。
もちろん機関投資家は成績を追いかけ続けるしかないから、相場を途中下車するなど、とうていできない。
ということは、どこかでバブルが弾けだすや、とんでもない規模での売りが殺到するのは容易に想像できよう。
すさまじいまでの売りが集中し、それがバブル崩れをどんどん加速させる。
そこへ世界中の機関投資家が一斉の売りに転じる。 いまは想像もできないような、総売りの地獄絵が展開されよう。
そういった状況になるのは、もう避けようがない。 推測でいっているのではない。
なにしろ、インフレ圧力と金利上昇には、中身のないバブル高など、とうてい抗えないのだから。
来週は2年半ぶりのイタリア出張なので、長期投資家日記は一週間お休みです。
その間、上に書いたこと、何度も読み直しておいてください。