株式や投信の売却益に課税される証券税制が、いまは10%の軽減税率となっている。 それが、来年初めからは通常の20%に戻され、代わりに NISA (小規模投資非課税制度)が導入される。
そこで投資家の間でどうしたら良いものかと悩ましいのは、10%の軽減税率の間に一度売って利益確定をしておくべきかどうか,さらには来年に入ってNISA 口座で買い直すべきかどうかの2点。
たしかに利益確定したいのなら、売却益課税が10%の間に売っておく方が有利である。 ただし、そのあとすぐ買い直すとするなら、一体なんのための売却なのか? わざわざ10%の税金を払って利益確定などする理由も必要もない。
もっとも、自分なりの相場観で行動するなら、それも良しである。 今のうちに売っておいて、いずれ到来すると思われる安値で買い戻す算段なら、10%の軽減税率の間にというのもありだ。
来年から始まる NISA 制度に合わせて買い直すというのも、それこそ投資家それぞれの判断次第である。 ただし、NISA 口座では年間100万円までの投資しかできないから、その範囲内での利益確定を年内にしておくべきだろう。
まあ、どう判断するかは皆さんそれぞれの自由である。 ひとつだけ、40年を超す長期投資の経験から敢えて言っておこう。 税制とかを意識してちょろちょろ売買を重ねるのは、愚の骨頂であるということを。
長期の財産づくりで絶対に欠かせないのが、どんどん再投資を重ねて複利の雪だるま効果を最大限に頂戴することである。 その時、ちょろちょろ税金を払ったりしていると、その分だけ再投資にまわす投資金額が削がれることになる。
まして投信であれば、われわれ運用サイドが相場動向をみながら売買を繰り返しても、売却益税など税金は一切かからない。 ファンド仲間の皆さんは長期保有型の投信にどっしり乗っかっていれば、再投資の複利効果をまるまる手にできるわけだ。 証券税制など無視して構わない。
もちろん、投信を売却する時には、売却した分の利益の20%が源泉徴収される。 あるいは、申告して20%の税を納める。 しかしだ、再投資の複利効果をたっぷりと積み上げて資産を大きく殖やした後に、必要に応じて解約した分に20%の源泉税が課されてもそう痛くはない。
ここにも、本格派の長期保有型投信の良さが秘められているわけだ。 そのうち、ファンド仲間の皆さんも驚きながら納得してもらえるだろう。