シュレーダー政権

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 今日の午後1時から六本木で、ドイツの元首相シュレーダー氏の講演を聞きに行く。 10月から日経新聞がずっと ”シュレーダー前ドイツ首相講演と討論会” への参加希望者を募集しており、幸い ”厳選なる抽選” に当選したのでご機嫌で出かけるつもり。

 もともと、シュレーダー首相による2000年からの労働改革断行に強い興味と称賛の気持ちを抱いていた。 なにしろ、労働階級の代表でもある社民党政権を率いるシュレーダー首相が、ドイツの労働慣行の大改革をやってのけたのだ。

 どんなに反対があろうと、ドイツの将来を見据えた政策を断行した勇気と先見力は、その後の拡大 EU におけるドイツ経済の一人勝ちになって表れている。 まさに、政治家らしい政治家である。

 実は、労働改革だけではない。 1989年末にベルリンの壁が取り壊されて東西ドイツが統合されたものの、新生ドイツは数多くの社会問題に90年代ずっと悩まされ続けた。 旧西ドイツ地域と旧東ドイツ地域との間の所得水準に大きな隔たりがあったり、年金など社会保障制度の違いがあったりで、統合ドイツの政策運営は混迷し経済も停滞した。

 いまでは信じられないことだが、90年代のドイツはヨーロッパの病人といわれたものだ。 病めるドイツの大改革に蛮勇を奮ったのがシュレーダー首相であり、代表的な政策が労働改革である。 詳しくは、明日あたりの新聞で大々的に報道されるだろうから、それを読んでもらおう。

 すごいなと思うのは、繁栄ボケの旧西ドイツ市民と社会主義ボケの旧東ドイツ市民の双方に、そんなものに甘えていると将来はないよと引導を渡したことだ。

 世界中でグローバル経済化が進んでいる中、いつまでも過去のしきたりや既得権に甘えていると、ドイツそのものが世界から置いてきぼりを食らってしまう。 したがって、一時的には苦い薬でも飲んでもらわなければならないといって、各種の改革を断行したわけだ。

 いまの日本で求められているのは、将来の日本を見据えた政策ビジョンを具体的に提示し、返す刀で国中にはびこっている既得権益層に苦い薬を飲ませる大改革を断行できる政治家である。 シュレーダー前首相のように10年後の日本の大繁栄を目指してもらいたいものだ。