原稿を書いていて、ふと頭に浮かんだのが上記の言葉である。
もうずいぶん前から、預貯金は財産づくりにならないよと言ってきている。
それよりもずっとパンチの利いた表現が、財産づくりにとって敵だよだ。
銀行預金でみてみよう。 銀行に預金を預けると、なんらかの利子がついてくる。
利子の支払いは、銀行にとってコストである。 そのコストに、銀行の経費や利益を上乗せして、企業などに貸し付ける。
企業にしてみれば、銀行に支払う貸し付け金利に他の経費や利益を乗せないと、商売にならない。
つまり、企業が提供する製品やサービスの価格には、企業の分はもちろんのこと銀行の経費や利益も乗っかってくることになる。
その価格を支払うのは、われわれ生活者である。 そして、預金者としては残りカスのような利子を得る。
ということは、預金で幾ばくかの利子を得るが、日々の生活においては企業や銀行の経費や利益が乗っかった金額を支払い続けているわけだ。
これが預金の構造である。 郵便貯金もおおむね同じような構造にある。 いずれ民営化すれば、預金とまったく同じになる。
そうなのだ、預貯金では生活コストを賄えない、つまり財産の目減りが進む一途となるだけのこと。
だから、財産づくりをするにあたってはマイナス、つまり敵となるわけだ。
では、どうしてこれまで預貯金は財産づくりの柱の一つと数えられてきたのか?
高度成長期までは、給料など所得の伸びが早く、財産の目減りを十分にカバーしてくれたからのこと。
いまや、それは夢物語である。 いずれ、デフレ現象も消え去れば、預貯金資産の食い潰しが表面化してくる。
まだ、預貯金マネーがある間に、資産を長期投資にシフトさせておいた方が賢明である。
もちろん、預貯金にしがみついたまま、生活コストに追いまくられる人生を歩むのも、その人の自由である。