昨日の米国株市場は大きく下げたのに、日本株市場は驚くほど落ち着いた動きとなっている。
そもそも、NY市場の方も大きな下げに慣れてきたのか、さして大騒ぎとなっていない様子らしい。
たしかに、この4月は日米のマーケットとも、歴史に残るような暴落と反発の戻りを繰り返した。
激しい値動きが、もう当たり前のようになって、それに投資家や市場関係者たちが慣れてしまったのかもしれない。
これには要注意である。 マーケットが大きな下げ基調にあっての激しい価格変動に対する慣れは、危険である。
トランプ政権による長期視野と整合性に欠けた脅し政策の乱発は、それだけで経済活動を不安定にさせる。
不安定さが経済活動の現場を通して企業の業績に織り込まれていくには、それなりの時間がかかる。
そう、本当の下げは、これからなのだ。 ところが、投資家やマーケット関係者たちは、もう落ち着いたと思い込みがち。
それどころか、これだけ下げたことだし、なお底値も固まってきた、といった判断をしかねない。
ちょうど良い買い場だ、新しい上昇相場がいよいよ始まるぞ、そう思い込んで買いポジションを高める投資家も多い。
そういった投資家や市場関係者たちの眼前に、いずれ本格的な経済悪化や企業の業績下方修正が襲ってくるのだ。
今度はトランプ政権によるマーケット波乱を越えて、ファンダメンタルズの悪化となって市場を席巻する。
つまり、本格的な下げへの号砲が鳴るわけだ。 そこから先は、もう売り一色のマーケット展開となっていく。
そこからが、マーケットを追いかけるをもって投資としている機関投資家たちが陥る、本当の修羅場である。
その点、われわれ本格派の長期投資家はいつも経済やマーケットの大きな流れを、大きく把握しようとしている。
いわゆる鳥の眼でもって、10年20年の時間軸で世界の大きな流れを俯瞰するわけだ。
すると、いろいろな対応手段を講じられる。 それも、マイペースで着々と。
今は? 以前から言ってきたように、カネ余りによる張りぼて経済やマーケットからは、どんどん離れるようにしてきた。
したがって、今回の下げも、これから起こるであろう本格的な下げも、そう怖れることでもない。
むしろ、どこでどんなバーゲンハンティングに入るかの準備を怠れない。
まさに、投資対象企業を徹底的に厳選する本格的なアクティブ運用の出番到来である。