国を挙げての資産運用立国スローガンだが、大事なポイントが抜け落ちている。
いまは猫も杓子も状態で、株式投資だ投信購入だと、投資運用に国民を誘っている。
その象徴として、年初から新NISA制度を導入し、相当に思い切った税優遇措置を絡めたりしている。
証券はじめ金融機関、そしてマスコミはここぞとばかり、やたらと色めきだっている。
それに対し、国民の一部が「では投資を始めてみよう」と動き出した程度。
大半の国民は相変わらず「投資なんて」と言いつつ、預貯金から動こうとしない。
では、抜け落ちている大事なポイントとは? 資産運用立国とは、そもそも何を目指してのスローガンなのかだ。
1000兆円を超える個人マネーが預貯金に眠ったままになっている。
その10%でも20%でも投資運用にまわってくれると、株式市場などを通じて経済活動は大いに活発化する。
日本経済の活性化に個人の預貯金マネーを、どんどん活用しようということのはず。
それに対し、個人の多くは「投資は恐いし、リスクがある」といって、さっぱり動こうとしない。
昔から投資に対し忌避感の強い国民性という現実を踏まえるならば、さもありなんだ。
であるならば、「投資ではなく、消費の高度化を促す」キャンペーンを大々的に繰り広げればいい。
もう大方のモノは買い揃えてしまった日本だ、これからは「モノを超えた、お金のつかい方」を学ぶ必要がある。
すなわち、文化・芸術・教育・スポーツ・技術・寄付・NPO・ボランティアなどに、どんどんお金をつかうことだ。
つかわれたお金、つまり一段階上がった個人消費が、新しい産業を生み、雇用を増やし、日本経済の活性化に直結していく。
たとえば、1000兆円を超す個人の預貯金マネーの1%が動くだけで、日本経済は瞬時に1.7%の成長となる。
3%が動けば、日本経済は5%成長を記録し、国民全般の所得が増加するのを、誰もが実感しよう。
つまり、お金をつかえば、経済は活性化して所得は増え、結果的には預貯金の増加につながっていくのだ。
かりに10%が動けば、100兆円を超すわけで、国家予算に匹敵する巨額資金だ。
100兆円を超す資金が、新たに個人消費をベースとした産業を創出する、とんでもない経済効果となるのだ。
このあたり、国を挙げて大々的にキャンペーンを打てば、個人の預貯金マネーは動きだす。
金融教育だとか投資教育だとか言っているよりも、はるかに即効性のある経済活性化策となる。