政治 vs ビジネスの醍醐味

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バイデン大統領の撤退で、米国の大統領選の行方が混沌としてきた。

それでなくても、バイデン氏とトランプ氏の選挙戦術では、互いのけなし合いが目立った。

米国をどういう方向へ導いていくとかの、政治家らしい国家戦略での論戦はほとんど聞けなかった。

いかに多くの票を確保するかが、民主主義の基本であり、その弱点がさらけ出ているかのようだ。

日本でも同様の問題を指摘できる。 岸田政権も、岸田下ろしの側も、いかに多くの支持を集めるか、そればかり。

多数意見をまとめ上げて政策を打ち出すとなると、どうしても政策は調整や妥協の産物となっていく。

となると、5年後10年後の日本をこう変えていくんだといった痛みを伴う改革など、とうてい打ち出せない。

そして、ズルズルと現状の問題を先送りしたり、引きずったまま時間だけ空費してしまう。

その挙げ句、日本全体がゆでガエル状況に甘んじるばかりで、将来不安感だけが膨れ上がっていく。

英邁なる政治家が登場してくれて、抜本的な改革を矢継ぎ早に打ち出してくれたら、どれほど良いことか。

誰もが、そう願う。 だが、そういった政治家らしい政治家が選挙を経て、日本のトップに躍り出る可能性は、ほとんど期待できない。

その点、ビジネスの世界は違う。 事業家は自分の夢を、好きに追いかけることができる。

なにかをやりたいと思うのは自分である。 だったら、さっさと実行に移すだけのこと。

皆と話し合い、皆の納得と了解を得て、皆の賛同する方向で、ようやく動き出すのは、民主政治の鉄則である。

ところが、ビジネスの世界では、そんなもの下の下である。 なんの新鮮味もないし、スピード感もない。

ビジネスの世界では、自分のやりたいことをやって、それを世の評価にさらすだけのこと。

世の中が、「ありがたい、そういうのを待っていたんだ」と、お金を払ってくれて、はじめてビジンネスとなる。

したがって、ビジネスの世界では前例など無視、いくらでも新しいことに挑戦できる。

鍵は、世の中が受け入れてくれるかどうかだ。 奇をてらった商売で、一時の成功を狙ってもいい。

あるいは、それまで存在しなかったものの、新たに持続的なニーズを探り当てて、大きなビジネスに育て上げるのもいい。

大事なのは、世の評価を仰ぐこと。 好き勝手な思い込みや楽しみは、趣味の世界である。

世の評価を得て、はじめてビジネスとなる。 とはいえ、世の評価なんて移り気なものである。

そういった移り気な世の評価を相手にしながら、ビジネスを拡大していくのは事業家の醍醐味である。